二十章
片付けもどうにか終わり、荷車に自分の荷物を運ぶと、アレニウスにあった。
「ウェンディは、乗馬は出来るかの?」
「えぇ。出来ますが。どうかしたんですか?」
アレニウスは、ホッとした顔で言った。
「それは良かった。乗馬を出来る者が少ないから、業者代わりになる者を探しておったのじゃよ」
「・・・?」
全部の準備が終わり、広場には、たくさんの村人とたくさんの荷物を後ろに付けた数頭の馬がいた。
「ウェンディは、悪いがその馬に乗ってくれ」
「はい!」
ジョージアに指された馬に寄ると、普通の栗毛ではあったが、目元には傷があった。
その馬は、とても苛立っている様子で、大男が二人がかりで押さえていた。
そんな様子を気にせず、ウェンディは近づいていった。
「危ないぞ、ウェンディ!」
グリンが止めようとしたが、歩み寄り続けていた。周りのみなが、危険だと思い、目を背けてしまった。しかし、何も起きなかった。逆に鼻面を撫でていた。
「大丈夫だよ・・・。怖がらないで」
すると、馬は落ち着いた様子になっていた。
「変わった子だ。あそこまで苛立っている馬に近づくのは危ないのに、怖がらずに近づくとは」
馬に乗り終えたアレニウスは、ウェンディを見ながら呟いた。
「昔、人に傷つけらたあの栗毛は今まで誰にも心を開かなかったのに。団長・・・あの娘は何者なんですか?」
別の馬に荷台をくくりつけるのを手伝っていたジョージアはアレニウスに尋ねた。
「さあのう・・・・・・。これだけは言えるのは、血と才能と運を持つ者なのだろう・・・」
遠くを見つめる表情をしたアレニウスをジョージアは見逃さなかった。
何かを隠しているのは、アレニウスの言葉からもウェンディの言動からも明らかだった。しかし、まだ知ってはいけないのだ、そう思っていた。
「団長ー!この子、何て言う名前何ですか?」
ウェンディは栗毛にまたがり、鬣を撫でていた。
「まだ名はついとらんぞ」
「じゃあねぇ・・・ロメルがいいわ。よろしくね」
栗毛は、鼻を鳴らして喜んだ。
首都への道を進んでいくと、やつれた様子の旅の衣装をした人々がたくさんいた。
「・・・彼ら、ガサラのダーウィンから来た難民らしいぞ」
「あぁ、一、二ヶ月前から増えたよな」
ウェンディは後ろで話している団員の話が耳に入った。
「領主の死んだ後、二人の実の子どもの兄妹が行方不明になってしまって、最近来た、妻が治めるようになってからとても増えたらしいな」
「悪政が始まったんだろうな」
そんな話を聞いて、ウェンディはうつ向いてしまった。
(・・・城のみんな大丈夫なのかな?・・・カンナ、うまく逃げられたかな?・・・民は・・・』
帽子を引っ張って、深く被ったマントの下で心を痛めていた。
すると、肩に乗っていたジンはウェンディの頬を舐めた。
(ジン・・・心配してくれたの?ありがとう。そうだよね。今、私たちがダーウィンのこれからのために頑張らなかったら、民のためにもならないわね。私にはアランもいるんだから頑張らなくちゃ)
前を向き再びゆっくり歩みを進めた。
そんな様子をアレックスは、後方の馬の上で見ていた。
サファルの都、ルビュの都大路は人で溢れ、あちらこちらから威勢のいい声が聞こえていた。商人達や市井の人達など様々な人々で賑わっていた。
ウェンディ自身はこれほどまで大きな都は、幼い頃訪れたガサラの首都・ビスツィヒ以来だった。
しばらく進み、森を抜けると、見るからに古そうな、それでいて荘厳な城が聳え立っていた。
「凄い・・・」
ウェンディは呟くと、ちょうど馬の横にいたセバスチャンが驚いた様子でウェンディを見上げた。
「初めて見るんですか?この城は、とても広くて、僕ら魔法団にも何部屋か部屋が当てられんですよ」
「へぇ・・・心の広い王なのね」
しかし、王が近くにいるということは最もガサラ出身ということを言えない状況だということであった。
(アランはどうやってるのかな・・・)
城に近づくほど気になっていた。
(※今回は登場人物は登場しません)
一日に二章分書いてしまいました(苦笑い)
少し前のほうの章に変更した部分もありますが、表記の仕方が少し変わったぐらいなので、サラッと目を通していただけらと思います。




