十六章
グリンとセバスチャン・ウェンディとで別れて薬草を摘むことにした。
「こっちのが痛み止め、あそこの黄緑のが麻酔用で・・・」
セバスチャンは、大きな竹籠を背負ってウェンディに薬草の説明をしていた。
「これが頭痛の時に効く薬。あっちに生えているのが、打ち身に効く薬・・・」
ウェンディは、セバスチャンに教えてもらいながら、摘んでいた。
「ねぇ・・・何か音聞こえない?」
ウェンディは、鳴き声が聞こえた気がして、セバスチャンに尋ねた。
「・・・今の時期って熊が出るっていう噂が・・・」
二人は青ざめた顔で見合わせた。
・・・ン、ニャーン、ニャーン・・・
「な、なんだ。猫だったの」
「ウェンディさーん。僕、腰抜けちゃいましたよ!見てきてくださいよぉー」
「はいはい」
ウェンディは立ち上がって、鳴き声のした方へ向かった。
「ここら辺から聞こえた気がしたんだけどな、おかしいな・・・」
辺りを見渡したが、猫の姿は無かった。
ニャーン・・・
ふと上を見上げると山の岩肌に黒い猫が怯えて動けなくなっていた。
「大変だっ!」
ウェンディは岩肌によじ登っていった。
「ウェンディさん!危ないですよ!」
腰が抜けたのが治ったのか、下にはセバスチャンがいた。
「だ、大丈夫っ!」
下も見ず、黙々と登っていくと、猫の所までたどり着けた。
「はぁ、はぁ。もう、大丈夫だょ」
猫に手を伸ばして、抱き抱えると、ウェンディの掴んでいた岩が崩れてしまった。
「ウェンディさんっ!」
セバスチャンの叫んでる声が聞こえた。
この猫を助けなくちゃ!
そう思うと、空色の風がウェンディの体を包み、そっと地面に降りた。
(・・・何が起きたの?)
ウェンディ自身も何が起きたのか分からなかった。
セバスチャンは走って近寄ってきて、驚いた顔をしていた。
「ウェンディさん、今の《風》の魔術ですか?」
「今のも《魔術》・・・?」
セバスチャンは、顔が真っ赤になるぐらいとても興奮した様子だった。
「そうです!《風》の魔術は目に見えないものを扱う魔術だから、人を治す以上に難しい魔術だってジョージアさんが前に言っていました。凄いなぁ。実際に団長以外で《風魔術》ができる人がいるなんて」
ウェンディはふと前にアスタリが言っていたことを思い出した。
(お母様は、金の風魔女って呼ばれてたって言ってたかな・・・じゃあ、セバスチャンのいう通りならば、お母様は、とても強い魔術師なの?)
ニャー!
ウェンディが考えていると腕の中にいた猫は鳴いていた。
「あっ、ごめんね。怪我でもしてたのかな?」
猫の身体を見回して見たが、特に大きな怪我はなさそうだった。
「お腹減ってるんじゃないんですか?」
セバスチャンの意見に返事でもするかのように、ニャンと答えた。
「じゃあ、帰ろうか」
グリンとの待ち合わせ場所に足を進めた。
だいぶ更新が遅れました。別の作品でも書いたんですが、テストだったんですよ・・。これからがんばりたいです
P.S.今回の後書きは登場人物は出演?しません。楽しみだった人、すみませんm(_ _)m




