もう一度、あの日へ③
白峰さんから連絡があったと紬が教えてくれたのは夜の九時過ぎ。いつものように電話をしている時だった。
紬の話によれば【Re:Light】全員でこっちへ遊びに来るらしい。だから一緒にどうかとの誘いだったそうだ。なるほど、榊さんが言っていた「日曜ならねじ込める」って言うのはオフだからってことか。
『なんか申し訳ないな』
『え?』
『あ、いや。なんでもない。それでどうするんだ。遊び行くのか?』
『文化祭と被ってるでしょ。だから今回は、ね』
『そっか』
白峰さんはまだウチの文化祭にシークレット出演すると言っていないのだろうか。それとも俺がなにも知らないと思って隠しているのか。恐らく後者の方だ。
紬には白峰さんとのやり取りは話してないし、榊さんと密かに会っていたことも言っていない。なら俺も余計なことは言わず、こちらはこちらでこっそり動くとしよう。そう思った時だ。
『――ねぇ遥人』
何処となく寂しそうな声の紬は「昔みたいに接してほしい」と呟いた。
一瞬、なんのことを言っているのかわからなかった。だがまったく覚えがないという訳でもない。
『別にそんなつもりはなかったんだけどな』
『自覚あるんじゃん』
『悪い』
『でも仕方ないよね。ごめんね』
なんでそこで謝るんだ。紬が距離を置くようになったのはイメージ作りやリスク管理のためだったんだろ。
たしかに紬から連絡が来なくなってからあいつは別世界の人間なのだと距離を置こうとした。ウチの学校に転校してきた当初は少しぶっきらぼうな態度を取ったかもしれない。謝るのは俺の方だ。
『なんて言うか、その――』
『はいストップ。それ以上は言わない。別に気にしてないよ。六年も時間経ってるんだし、連絡しなくなったのは事実だし。だからこの話はおしまい。その代わり――』
『なんだよ』
『文化祭楽しもうね』
一緒に回ろうと言わないところは紬らしい。だが文化祭を楽しみにしていると言うのは弾む声色で感じた。
紬は文化祭と言うものに参加したことがなく、前の学校では文化祭と仕事が被り参加できなかったそうだ。浮かれるのも仕方あるまい。
「時間作って一緒に回ってやるかな」
電話を切ったあと、そう独り言をつぶやく。
翌朝。スマホに届いていた通知を見ると白峰さんから『みんな、紬のためにライブやりたいそうです!』とメッセージが届いた。




