136話 まだポーション作れず
今日も離れでお勉強をせねばーってことでアランの抱っこで運ばれた。
離れのお庭は畑の様相で、本邸の庭園とは見事に趣が違う。
庭師さんたちのおかげで見栄えが悪くなるとかはないけど。
「ついでに池も覗きたい」
離れより少し奥まで連れて行ってもらうと昨日よりバージョンアップされていた。
ミニ滝出来とる!
なんていうか素敵ジオラマみたい?
「旅行で見た滝のそばみたいですね」
ジェイクが呟く。
確かにパバブが群生してた沢っぽい。
あそこがアズライトの好みのドンピシャな場所だったんだろうね。無理についてこなくてもあそこで暮らした方がアズライトは幸せだったんじゃ?
「清々しい気分になりますね」
森じゃないけど確かに気持ちいい。ジェイクはとっても癒されているみたい。
聖域みたいになってないかな?
「温泉とはまた違った癒しスポットだなぁ」
アランも気持ちがいいと深呼吸をしている。
なるほど。地下水脈が豊富ならあちこち掘って泉作るのもありだし、もしかしたら温泉が出る場所も他にあるかも?
あ、冷泉でも魔道具で温めたらいっか。
とりあえず池を確認できたので離れに入った。
リックさまとカンダルー教授とジョシュー先生が締め切り明けの漫画家とかSEとかみたいになってる!
「やぁ・・・おはよう」
ゾンビみたいな動きでジョシュー先生がテーブルを片付ける。
書物と紙と検証に使ったらしき魔道具、寝たら死ぬぞとばかりに飲んだらしいお茶類。
そんな完徹で調べたかったのかしら?
やばい感じだけど3人とも満足そうにお顔艶々。楽しかったみたい。
「いやぁ、ネイマーシェ国、奥深いですね」
ん~?奥深いって言うか、用心深いんじゃないかな。
「どうやら魔力量や技量、専攻している方向性によって見られる箇所が違うんです」
あ。
「そういえばお祖父様が魔道具と魔導書は在るべき場所、必要とされる人に繋がっていくって言ってた気がします」
うろ覚え。
「ほう、マーベルハント翁とも話がしたいな」
3人とも興奮してるな。
「うーん?お母さまは必要なものは必要な時に見られるようになるって言ってた記憶が・・・」
確かに隠し部屋の本棚は不思議構造なんだよね。
隠し部屋の話をしたら絶対入りたいってなるから黙っておこう。
「それはネイマーシェの技術かセラーナさまの魔法か・・・」
それはわからないです!
「ちなみにですね。リーシャさまが翻訳してくださった部分は私には解読できない言語に見えまして」
「わしには記号に見えての」
「私には白紙に見えます」
え⁉せっかく書き写したのに!無駄になっちゃった。
「は〜、門外不出ってそういうことなんですかね?」
ネイマーシェの技術や魔法が世界に広がってない理由?なんてケチなの⁉
「私に分かる部分でもこの魔術式を仮に構築できても実行できる気がしないんですよ」
ん?
「古代語だからじゃなく魔力量が足りないんです」
ええ?リックさまって王宮筆頭魔導師だよ?一番魔力があるんだよね?
「リーシャさまはこれを使えますか?」
使えるって言っちゃうと何かいたたまれない気がする。
「魔力量を少なめに書き直したら?」
「それだとわざわざこの魔法陣を使う意味がないでしょう」
えー。
じゃ普通に人が使えない魔法式なんてただの「俺こんなの考えたんだぜ!すげぇだろ」とかいう嫌味な人が考えた駄作じゃん!
それともネイマーシェって魔力量が桁違いに多い国なのかしら?
「セラーナさまがご存命であればと思ってしまいますね」
「セラーナ夫人はあまりネイマーシェの話はしたがらなかったからの」
うーん?お祖母様っていつ亡くなったのだっけ。
「私はネイマーシェに一年行っておりましたが古代語の使われた魔導書は誰も持っていなかったですよ」
「わしも半年ほど行ったがみたことないの」
ほえ、ネイマーシェに留学は可能でも国としてのお付き合いはないんだったよね。よく行くね〜。お祖父様も行かれたそうだし。
「魔導を学ぶならばやはり憧れの国です。私もいずれ行ってみたいです」
ジョシュー先生はまだなのか。
「貧乏男爵家ではなかなか・・・」
ああ、留学費用が大変なんだ。
「魔道の発展になるなら国から補助出たりしないんですか?」
「え?」
「いずれ国に貢献される能力を得られるなら投資をすべきだと思うんですが」
奨学金とかって返済が有りのものは大変だからどうかなって思うけど、魔導師を育てるならちゃんと能力検定みたいなのして返済無しの補助金を出しても国の損にならないと思うんだけどな。
「ほぅ、パトロンを募るのではなく国からか」
パトロン?魔導師にパトロン?悪事を手伝わされそうで嫌だな←偏見?
「資金に悩まされず学べるのはかなり助かるのう」
そっか。一年とか半年って予算の問題なんだ。切ない。
「魔導師の資格を得れば食い扶持には困らないんですが国内の教育だけでは残念ながら下級がやっとなんですよ」
うーむ?お祖母様とお母さまの遺産なら私使い道ないし、何とか基金みたいなの作るのもアリかな?でも管理とか無理〜。
「陛下に少しだけ進言してみましょうかね」
「そうだの」
国がやるなら黙っておこうかな?まともに動き出したら寄付?とかしたら良いよね。
学びたい気持ちを応援するの、私がハゲ親父にされたみたいな仕打ち受けてる子とかが将来の選択肢広げられたならきっと素敵。
「さて、私はリーシャさまの特訓に付き合うので師とジョシューは少し休憩してください」
ということなので、早速傷薬の調合です!
「ボフン!!」
にゃぁーーーー!
「なぜ道具作りや魔石に魔法陣など集中力が必要なことをこなせるのに、これはダメなのでしょうね?」
心底不思議そうなリックさま。
なぜって私が知りたいよ!
「まぁこれとても効能のいい傷薬になってるんですけどね」
何それ?じゃぁ成功してるってこと?
「魔力でゴリ押しの結果なので成功ではないんです。点数は上げられません」
ぬ!心読まれた⁉
「傷薬は緩やかに傷が消える程度の薬です。完全に治るなどありえません」
完全に治った方がいいじゃん!
「これをポーション作りでやった場合、反動で大爆発など起きそうなんで普通の傷薬が作れないと挑戦させれませんよ」
むむ。なんてことだ。
結局その後も暴発させて成功ならず。
大雑把な私に繊細な魔力を練らそうなんて無茶だよ。
「魔石に魔法陣を彫る方が絶対難しいと思うのにの」
休憩から戻ったカンダルー教授が不思議がる。
「魔力がどう動くかどう使われるか観察をされては?」
ジョシュー先生がアドバイスをくれた。
「騎士団の訓練でも見に行きますかね」
そんなわけでアポ取って後日、社会見学ならぬ魔力見学に行くことになったよ。
しばらく、ほかの作品の続きを優先しますので一話更新になります。




