残影の追放者 〜追われし者よ、どうか良きヒトの世で〜

「ローグ、あなたにはパーティから離れてほしい」

　それは幼馴染のハルシュに告げられた静かな追放。
　魔術を一切使えない自分を責め続けてきたローグはいつか再開することを約束して去った。

　それから３ヶ月。
　ダンジョン【迷宮樹ユグドラシル】でローグはエルフの少女と出会う。
　自分の名前と魔術や蟲を操れること以外の記憶をなくした彼女はユラシル。

　彼女と共に行動する間に続く戦いの中、ローグは内なる力に目覚める。
　この世の理に至った者だけが得られる比類を許さない力。
　全てを凌駕する埒外の力。
　数多残さず全てを奪う力。

　ヒトとしての居場所を失った青年と、記憶を失いながらもヒトとしてある少女。
　捨てるものさえなくした彼らは１つの祈りを知る。

　──どうか良きヒトの世で

　これは追放された者たちが新たな居場所を探す物語。

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