24(-1)
目の前で膝をつき頭を垂れる息子に私は苦虫を噛み潰す
怒りを放つより団長として冷静に対処する事を優先できた自分を珍しく褒めたくなる
「…罰はない
確かに貴様は軍律を破り私の命にも背いた
だが彼の無事を確認し報告に戻った功労でこれを相殺する
二度はない
これ以降、より軍務に励み主である領主様に尽くせ
分かったな」
短く応じた息子を下がらせる
彼の捜索に向かった男がたった1日挟んで戻ってきた
しかも『彼は無事だった』などという都合の良い報告を持って、だ
本来ならとても信じられる物ではないが、あれの覚悟と性格を加味すれば信じる他ない
(首の皮一枚繋がったか…?)
誰にも見られぬように私は苦笑する
今回の遠征での私の責任は重い
たとえ彼女達の無事と保護を報告できたとしても、あれが戻らなければ…彼の無事を報告できなければ私の進退問題を問われていただろう
地位にしがみつくつもりは更々ない
昨夜には覚悟も決まり、次期団長候補は誰を推薦すべきか悩んだくらいだ
こうして己の心配が出来る余裕が持てたのは彼の無事に安堵した事によるものか
いずれにせよあと一日か二日、安全な街道を精鋭の騎士団を引き連れて行軍する
たったそれだけだが何が起きようともはやなんの不思議もない
一層気を引き締め、私は打ち合わせの為の場に向かった
私の心配をよそにこれ以降は万事順調に進み、我々は城への帰還を果たす
私の報告を聞いた領主様の表情の変化は相当なものだった
不敬かも知れぬが、いずれ引退した後の孫への昔話にでも取っておこうと思う




