再会するまでの男
彼女が僕を頭から腰まで丸呑みもとい咥えて連れてきたのは、恐らく巣穴として利用している洞窟だった
ペェっと僕を吐き出した彼女は、僕をベロベロと舐め回すと懐に引き寄せた
途端にすやすやと寝息をたてはじめたので、僕は彼女の腕の中から這い出る
やっぱりあの日からずっと見張っていたのだろう
巨体の彼女でも優に受け入れる洞窟は、奥深くまで続いているが暗すぎてとても進めそうにない
まるで人工物かのようにきれいな半円を描く洞窟を出ると滝の音が聞こえた
野営地から僕が窒息死する前に開放された時間を考えると、あの大きな滝が落ちる先の森の中だろうか
今からでも走れば騎士団の人達と合流できるかもしれない
「…まぁ、君が許してくれたらだけど」
見上げる僕を後ろから見下ろす彼女と目が合う
頭を丸呑みされる
首の骨が外れそうになったので急いで彼女の毛を掴んで体を支える
のっしのっしと歩く彼女
ペェっと吐き出され以下同文
うーん、どうしたものか
死にかける事数度、どうにか彼女の監視付きで歩き回る事を許可してくれたようだった
とりあえず滝の落ちる音の方へと歩く僕と着いてくる彼女
歩くリズムが合わず僕は何度も蹴飛ばされる
滝の音の耳と脳の許容範囲あたりで見つけた川で僕は目的を果たす
「あばばばば…!さささ寒い!」
頭の悪い事この上なく、彼女のヨダレは水に落ちたが、寒さに震え思わず彼女の脚に抱きつく
濡れた僕を愚かだと言うように舐め回す彼女
とりあえず途方に暮れたので元来た道を引き返す
勿論すぐに迷ったので、どうやって死なない様に洞窟まで連れて行ってもらおうかと思案していると、暗くなった木々の間に暖かそうな光が見えた




