北を目指す男
進路は北へ
都市ストーンハントへ伸びる街道を目指す
最短距離ではないが町や砦での補給を行いやすい行軍となる
この遠征の初日は馬車に揺られていた僕も、今じゃ一頭の馬を借りてなかなか立派に乗りこなしている
視線を感じて振り返る
危険があればすぐ動けるようにと、まるで問題児を監視するかのような視線を僕に送るバルドさんは昨日団長さんにメチャクチャ怒られていた…かわいそう
そのバルドさんの向こうに広がる険しくも美しく雄大なる山脈
見つめていると怪訝な顔をしたバルドさんに促されて前方に視線を戻す
バルドさんの微細な表情の変化も随分と分かるようになってきた
視線はずっと感じたまま
正午を過ぎ傾く太陽はやがて西の山脈に隠れた
麓には山脈の影が重く横たわる
見上げる空はまだ青く、太陽の光に照らされた雲が美しくオレンジ色に染まっている
一枚の絵のような風景の中を感動しながら進む
移動と野営を繰り返して三日目、山脈は不自然な程に急に途切れ視界が開ける
その恐ろしく高い断崖には巨大な滝が流れ落ちていた
遠目に見るこの場所にも届く滝の音
その落ちる先ではどれほどの轟音が響いているのだろう
逸話や昔話
目の前に広がるこの地に神様か巨大な竜が現れ、その時の衝撃で山脈が削られて出来た断崖だと語られているらしい
そう教えてくれたバルドさんが指を刺す
その方向、微かに町が見える
「あの町の近くに東西に伸びる街道があります 東へ三日も進めば城に着くでしょう」
「そろそろベッドで寝たいのですがどうでしょうか?」
「…補給のみです これまで通り町や砦に寄ることも泊まることも許されておりません…今の貴方をどうこうできる民や兵は少ないと思いますが念の為です ご理解ください」
「…言ってみただけです」




