早朝の私
日の出の眩しさで眠りから覚醒する
腕で瞼に染みる光を遮るが、再び眠りに落ちるのは難しそうだ
カサカサという音が周りから聞こえ出す
周りも起き始めた気配に諦めて目を開ける
真っ青な空
見つめていると重力が頼りなく感じて落ちてしまいそうだ
私もカサカサと音をたてて起き上がる
昨夜おじさんが、刈った大量の草をあっという間に乾燥させて作った簡易的な寝床
それでも厚みが足りなかったのか体が少し痛い
「大丈夫?」
そう聞こえた方向を確認して返事を飲み込む
紗織さんが紬ちゃんに体調の確認をした様だ
昨夜気絶して倒れた紬ちゃんは、綾乃ちゃんに抱き止められ頭を打つ事はなかった
『あらあら』と小走りで様子を見に行ったおじさんが『大丈夫だよ』と言って狼狽える綾乃ちゃんを安心させた
魔法の発現によって普段使わない脳の回路を行使したせいだそうだ
しかも複数の事を同時に行うようなもので、負荷に耐えきれずショートしてしまったらしい
『魔法が使えたのが嬉しかったのかねぇ、危険信号に気付かないくらい夢中になってしまったんだろうねぇ』と紬ちゃんの額に手を当てたおじさんが苦笑していた
「良いかな?」
岩の向こうからそう声がかかる
やや間をあけてひょっこり顔を出したおじさんと朝の挨拶を交わす
「お風呂の湯を張り直したから顔を洗うなりしてくると良いよ」
昨日からなんと至れり尽くせりなのだろう
まだ寝ていたノアちゃんと綾乃ちゃんを起こして、みんなでお言葉に甘える
昨日の夕食の残りを朝食として食べていると、おじさんが一点を見つめて首を傾げた
「どうしたんですか?」
「…んー、なにかがこっちに近づいてきているんだよねぇ」
昨日の事もあって体が強張る
人?獣?それとも…
周りの草原は私の腰あたり、ノアちゃんがギリギリ頭を出せる程の高さ
確かに少し遠くの草の先が揺れている
それがこちらに向けてゆっくり近づいてくる
おじさんを見る
なにか不思議そうな顔をしている
危険が迫っているわけではないのだろうか
すぐ近くの草が揺れ始める
みんなでおじさんの後ろに集まる
私が抱きしめていたノアちゃんが「あ!」と声をあげる
やがてソレが草の中から姿を現した
コテン
片腕のないノアちゃんのゴーレムが、顔を出すと同時に石に躓いて転んだ




