23
どんな報告をあげても梨の礫
しかし流石に一つの領が壊滅したとあっては、緩んでいる危機感を少しは締め直したようだ
重い腰をやっと上げた中央からの特使が使命を終え、帰路に着くその馬車を見送る
とはいっても及び腰の彼らが直接その地に向かうはずもなく、諸々の調査を我らに押し付けて逃げるように帰って行った
彼らにとって大事なのは永遠の平穏と、ぬるま湯に浸かりながら金勘定ができる王都の生活を守る事だけ
下手に首を突っ込んでその首を絞められるような事などあってはならないのだ
『彼ら』への面会すらその時間は短く、その目は化け物か侵略者を見るようだった
「いや…アレは私だな…」
彼らを知る前の私だ
特使を乗せた馬車は丘の向こうに消えた
ならば無意味な感傷や思考を切り替える
やるべき事は山積している
あのおぞましい3日間の大森林の異変
その後に起きた隣領、オータヴェストの壊滅
噂ではその原因の進路先である南領ベルクフォルムから派遣された討伐隊によって撃退されたらしい
同時期に巨人を見たという複数の目撃談
これは各地の被害報告やその足跡を証拠に事実として確認している
足跡は大森林まで続いているそうだ
あの乱立する大樹がつくる闇の奥
我々では到達できぬ恐怖の深淵
間違いなく何かが起きている
その森から現れた存在
眠る彼女達の記憶の中に、何か手がかりがあるかもしれない
頃合いを計り席を立つ
先触れに秘書官に呼ぶ
丁度、秘書官からも報告が上がる
「傭兵ギルドからの面会依頼だと?」
「はい、それも火急の用件らしく…その…『巨人について』と」




