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ベテラン達によって焚き付けられた者達はなんとかその仕事を全うした
最も声高に煽動した本人はもういない
最初に捕まった彼は今頃、稼がれた時間によって亡くなった家族だか知人だかのところまで到達できたことだろう
その時間も他の者達にとってはまだ少し足りない
一方は逃げる為の理由を欲しがるが、如何せん目の前のモンスター並みに恐ろしい視線が背後を捕えている
もう一方はその視線の本人達であり、冷静にモンスターへの対処と駒の使い道を話し合っている
冒険者 傭兵
それぞれのギルドの中枢にいる者達
何を志しどう生き残ってきたか
その道は違えど到達した境地は似ていた
モンスターの形態はどうか
巨大な蛇を連想させる
頭と思しき場所にはいくつもの触手が生え、それで獲物を捉えて一番近くにある口に運んでいる
死角を探ろうにも、あらゆる場所にある多数の眼がそれを許さないだろう
本体の動きは鈍く、林から出てきたあたりでほとんど動いていない
行動原理はどうか
ただ獲物を探し狙い喰うことのみに執着しているようだ
それ以外になにか知性を感じるような行動は見受けられない
なら簡単だ
触手の伸びる速さも彼らにとっては避けられぬものではない
切り落とせば再生はするものの一時的に脅威はなくなる
触手を伸ばし忍ばせ、背後から襲おうなどという知性もない
再生能力を無限に持つモンスターなど存在しない
全員で奴を囲い触手を避けて本体を切る
そんな簡単な仕事を続ければ明朝を待たずに片がつくだろう
ルディは拍子抜けしていた
確かにこの辺りでこれ程の巨大なモンスターは見たことがない
平和ボケしたお決まりの訓練や、ギルドが狩り残した弱いモンスターを相手にする兵士には脅威であろう
だが未知を知とするためあらゆる場所を踏破せんとする冒険者、そして対処できぬ敵を対処してきた傭兵
今戦っているのは、自分を含めその命のふるいを潜り抜けたもの達だ
小休止の為、周りの者に声をかけ一時的に下がる
水を口にすると鳴り響く轟音
筋肉ダルマが咆哮と共に放った渾身の一撃が奴の太い胴を薙ぎ払う
思いの外固く再生能力のせいで断ち切るまではいかなかったが、大木が如きその体がこの後方から分かるほど動いていた
もはやモンスターは彼らにとって大技を試す絶好の相手となっていた
次は誰が行くかとか、あれこれを試そうなどと笑い合っている
さて自分もとっておきを使うべきか隠しておくかとひとりごちて剣を再び抜いた時、やっと気付く
おっさんがいない
さては逃げたか…
はたまた奴の腹の中か…




