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異世界のひと  作者: くものひと


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 『おいルディ!なんだそのおっさんは!?』


うるせぇ…

討伐に向かう移動の最中、いきなり近寄ってきたかと思うと耳元でがなり立てる筋肉ダルマ

大して変わらん、おっさんがおっさんをおっさんと呼んでいる


「俺が個人で雇った奴で剣がそれなりに使える 世界を放浪して回ってるってんでな、今回の手掛かりを俺らの知らん知識で掴んでくれるかもしれんから連れてきた」


自分で言っててなんの説得力も感じないがどうでもいい

なにせコイツは


 『そりゃあ頼もしいぜ!おっさん、何かわかったらオレにも教えてくれな!』


脳みそまで筋肉でできているような奴だからな

おっさんの肩バシバシ叩いてドスドスと去っていく


おっさんはおっさんでヘラヘラと愛想良く受け流していた

周囲にいた奴らも気になってはいただろうが、この騒ぎでとりあえずの答え合わせを与えてやれただろう


 「いやぁ、噂程度は聞いていたけど凄い御仁だねぇ」


「気にするな、なんでも力任せに解決するだけで頭は空っぽな奴だ」


 「うーん、その考えは改めた方が良いかな?よく見ると目は笑ってなかったよ 第一そんなおバカさんが何年も傭兵ギルドの上位で生き残っていられる程、仕事は緩いものなのかい?」


そう言われては半信半疑ながらも奴の背中を睨みつけてしまう

その視線に気付いたのか、奴はこちらに笑みで返してくる

空気を読めぬ阿呆と高を括っていたその笑顔が妙に狂気じみて見えた



斥候が戻らない

近づき過ぎるなと厳命されていたはず

情報を持ってくるのが仕事なのだから

この規模だ、ギルドも生半可な者にそんな重要な仕事を任せるはずがない


日が暮れる頃に野営予定地である林と湖を挟んだ草原到着し、両ギルドの主要な者達が集まり話し合う

既に狂い始めたこの異常事態にも関わらず、作戦の続行が決まる

状況を理解しない新人や名を挙げるのだと血気盛んな命知らずを、ベテラン共が纏めて焚き付けている

あれだけ囮がいれば自分達の逃げる理由も時間もしっかり稼いでくれるだろう

筋肉ダルマ等の主力達はそれに参加はしていないが、忠告や注意を与える気もなさそうだ

こちらの囮は相変わらず何を考えているか分からない笑顔でその光景を眺めている


最後の目撃情報を元に新たな斥候を出す

【どこにいる】

ただそれだけ持ってくれば良いと



ひぐっ



間も無く斥候達の向かった方角から間抜けな声が上がる


追う事も探す事も、もう必要なかった


奴はとっくに餌場を見つけていた

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