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異世界のひと  作者: くものひと


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暴走する男

もし今の僕の思考を読む者がいるのならばその者に問おう

あなたは猫派か犬派か


僕は断然、猫派である


小学校の頃に飼ったハムスターを世話が足りないばかりに無惨に死なせてしまってからは自身にペットを飼う資格無しとしている為、猫を飼ったことは無い

だが動画サイトのお気に入りやおすすめ欄は猫で埋め尽くされていた


スマホもパソコンもないこの世界

城の中にも存在は確認できなかった

それが今、何とも弱々しい姿で僕の眼の前にいるのだ

これまでは虫や醜い猿のような見た目をしたモンスターだったではないか


見た目、黒い体毛のサーバルキャットだ

一回りか二回り程大きい

これがモンスター…?


…否!

これは猫…いやあえて言おう!これはぬこであると!

切傷が酷い…殴られた形跡もある…誰がこんな酷いことを…

思わず涙がこぼれてしまう


邪魔な盾と剣を置きゆっくり近付く

飼った経験はない為、動画の知識頼りだ

誰かが怒鳴っている

静かにしてくれと手で制する

これ以上刺激したらダメに決まってんだろ素人め

動画では◯ゅ〜◯があると効果的なんだが流石にない

テントに戻れば何かしら食うものはあるが、取って戻ってくる前に逃げられる可能性が高い

なんとか保護して治療をしなければならない


服を脱いで右腕に巻く…大きな口に頼りなさを感じた為、ズボンも脱いで更に厚く巻く

射程圏内に入った途端に飛んでくる爪攻撃

今の僕なら余裕で避けれる…なにより悲しい程に勢いがない

さらに前に出る

右腕に噛みつかせることに成功する

牙が巻いた布を突き破り肉に届く

抱き寄せてゆっくり撫でてやる

これが正しいかはわからない

本来なら檻越しに存在を認めてもらうべきなんだろう

痛みをこらえてとにかく優しく撫でる

僕は敵ではないと伝えるように



ーーー



この世界のモンスターとはそういうものではない

人とは決して相容れない存在なのだ

世界の隅々まで探したとして、モンスター使いなる者が存在した例はない

この男のやっている事は全くの無駄である

この後、男はぬこと呼んだモンスターと引き剥がされ、騎士によってそのモンスターは殺される

…筈であった

ただ男が異世界から転移してきた事

それによるある特殊な事情が本来の結果を覆すのだった



ーーー



 (ん…落ち着いたかな?よーしよーし良い子だ、すぐ治療してもらうからな)

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