モンスターと相対する男
左手に盾を持ち、右手で剣を構える
そして目の前のモンスター…がいるとイメージして中空に向けて剣を振るって見せる
まともに剣を持てずに木剣で練習していた僕を騎士団長さん…ウォードさんは見ている為、様になった一連の動作に驚いている
もう一人の騎士さん…ウォードさんの息子のバルドさんとは初対面だからか驚きは少ないが事情を知る為別の感心を見せている
遠征に出発して二日目
他の騎士さん達の目の届かない、野営地から少し離れた場所で予行練習を兼ねた訓練を受けている
領主様はこの僕の変化を覚醒と呼んだ
剣の技術が向上した、そういう認識なんだろう
…今はその認識でいてもらう方が良いと思った
僕だって別に自身に何が起きたかなんてまだよく分かってないし、憶測で答えて無駄に怖がられたりしたくない
多分本当は…
でもそれならモンスターを倒して僕が強くなったとして、僕は何を得ているんだろうか
この遠征で何体倒す?
まず一体目でしっかり確認しないと
前例として使徒と呼ばれた人達もそうだったはずだから多分大丈夫だと思うけど…
呼ばれて思考を戻す
簡単な会話ができるようになったのは嬉しい
剣技を重視したからか言葉の知識はあまり…といった具合だけど十分だ
あとはアンナさん監修、副団長さん協力のこの辞書があればこの遠征中は困らないだろう
ただウォードさんの厳格な雰囲気
年の近そうなバルドさんは寡黙な性格
会話の上達はあまり期待できないかも知れない…
四日目
今日、僕はモンスターと戦う
勝利したその時、僕が得るのは果たして希望か絶望か…
五日目
ついに僕はモンスターを殺すだろう
内なる闘志に火がつくのがわかる、戦いを欲する僕もまた悲しいけれど漢なのだろう…
六日目
そう、この日を待っていた
もはや機は熟した
生まれるのだ…新たなる使徒が…
七日目
痺れを切らしたバルドさんに背中を突き飛ばされてモンスターの前に颯爽と躍り出る
二人が適度に弱らせ、立っているだけで精一杯といった大きな獣がいた




