44/74
暗闇と彼女(1)
震える足を叩いて森の中を進む
木を避け、石に足を取られ、斜面や段差を越える
どうしても体力が削られ、思うように進めない
遠くから声がする
言葉は分からないが優しそうな励ますような誘われているような声
前を行くノアちゃんが私達に向けて首を横に振る
もう何が起きているかわからない
城にいるのが危険になったと言われ連れ出され逃げて逃げて逃げた
そしてまた森のなかにいる
また追われている
今度は人に追われている
私達が何かしたのだろうか
何かしなきゃいけなかったのだろうか
捕まったら何をされるのだろうか
声が近くなった
木々や地形に阻まれて見えないだけでもうすぐそこにいるようだった
嫌だ…
助けて…!
誰が助けて!
暗い…え?…な、何?
ノアちゃんも驚いている
後ろを振り返る
みんなと目が合うが答えは出ない
「ノアちゃん、」
どうしよう、そう言うつもりだった
ノアちゃんがいない
また後ろ向く
誰もいない
怖くて震えて体が動かない
違う
何かが私を掴んでいる
私は浮遊感に襲われた




