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信仰
この世界は勇者崇拝が根強く広まっている
遣わしたとされる神は国によっては異なることもある
だが王族も貴族も平民も皆、勇者の物語を聞いて育った
そして勇者を支えし使徒
聖女 賢者 武神
彼らも当然信仰の対象である
民が癒しを求める聖堂には聖女が
術や学を修めんとする校舎には賢者が
騎士を強者を覇を志す者達の教えには武神が
ただ彼らの信仰には薄暗い伝承があった
平凡に生きて平凡に死ぬ者達には聞こえぬ囁き
まるで華やかで活気あふれた街の路地裏の奥深く
人の歪んだ欲望や願望が落とした影
神と結びついてしまった勇者には望んではならぬ事
始めは酒場の酔客の冗談だったかもしれない
だがそれはやがて正道なる信仰とはけして交わらぬもう一つの信仰を生んだ
使徒達は戦うほどに強くなった
命を奪うほどに強くなった
世界の何処かにあるはずの彼らの遺体
我が身に取り込む事が出来ればその力を宿せるのではないか
そう信じて疑わぬという信仰がこの世界の裏側にこびり付いている




