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『金色』嫌いな俺の青春  作者: えみお


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7-6

 少々カタいドアを、面倒臭いとばかりに蹴り飛ばし、工場内に足を踏み入れた俺・・・。






 そこには、それこそテレビドラマでしかお目にかかれないような光景が広がっていた。






 金属バットや竹刀といった、フィクションではお決まりの武器を携帯する柄の悪い男達・・・その数ザッと見積もって100人程が、侵入者である俺に対して目を怒らせる。


 そして、そんな彼等の中心に・・・囚われの姫となっていた宇佐美を見つけ出し、声を掛けようとしたところで、俺は彼女の肩に手を回し、ほくそ笑んでいるヤツの正体を知って驚愕した!


「か・・・金田っ!」


 ヤツの『金髪』が視界に入り、無意識に目を背けようとする自らの本能。


 ソレを無理矢理制御し、俺はヤツを真っ直ぐに見据えた。


「どうして・・・お前がここにいる!?」


「どうして?・・・ハッ!そりゃお前を呼び出したのが俺だからだよ!」


「っ!お前・・・飛田と組んだっていうのか?」


「ああ、そうさ!飛田にはこの場所を提供して貰ったんだよ!恨み骨髄のコイツは、どんなことをしても、お前に一矢報いたいっていうからな!」


 やはり・・・俺は飛田の恨み、そして覚悟を甘く見ていた。


(「まさか、『犯罪』という名の境界線を、こうも易々と飛び越えてくるとは・・・!」)


 入学して以降・・・飛田が教室内でしでかした蛮行の数々・・・。


 あれらだって、決して許される行いでは無い・・・が、それらは学校で起きた生徒同士の諍い、という解釈でどうにか収まりうるものだった。


 しかし・・・校外の一室にこれだけの不良を呼び集め・・・さらには女子高生を誘拐した今回の一件は、幾ら未成年の引き起こした事態とは言え、表に出ればタダでは済まないことは確実。

 今までの悪事とは明らかに異なる類いのものであった!


「飛田・・・お前・・・そこまで俺を恨んでいたのか?」


 俺は金田と宇佐美の側で、俯きがちに佇んでいる飛田に水を向ける。


「恨んでねえと・・・本気で思ってんのか!?」


「思ってないさ。だが・・・幾らお前の親父が権力持ってたとしても、この状況は流石に手に余るだろう・・・。ここまでする必要が本当にあったのか?」


「手に余る?何言ってんだ?ここでお前を二度と口がきけないほどに痛めつけて、宇佐美は口封じする。それでバレることは絶対にない!違うか?」


 俺を二度と口がきけないほどに痛めつける・・・それは即ち、今回は顔面パンチの1発や2発では済まさないということだろう。


(「そして・・・宇佐美に対する口封じの方法は・・・」)


 彼女の芸能生活を破綻に追い込むだけの効力を持つものとなれば、候補は自ずと限られる。

 そして、震える宇佐美を自身の腕に抱き、こんな状況にも係わらず、彼女の感触を楽しんでいる様子の金田が、震える女に対してやりそうなことを想像すると・・・俺には、最も卑猥で悪辣な手段しか思いつかなかった。


「お前・・・それで良いのか?」


 俺は飛田に問いかける。


「うるせえ!テメエに盗られるくらいなら、こっちの方が100倍マシだ!お前ら2人だけを幸せにはさせねえ!絶望させてやるよ!」


「・・・そうか」






 なら・・・もう手加減はできねえな。






 俺は制服を脱ぎ捨て、カッターシャツの腕を捲る。


 そこから現れる腕の太さは、素人のソレとは一線を画す。


「なっ・・・!コイツ!」


 ここに来てようやく、取り巻きの男達も、これから自分達が一方的にいたぶるつもりだった相手が、どうやらタダやられに来ただけの雑魚では無いことに気付いたようだ。


 だが、攻め込んできた男に何か異質なものを感じたとて・・・数の優位が変わったわけでは無い。


 それに何より・・・彼等には人質の存在がいるのだ。

 

 その事実に思い出した者達は、徐々に余裕を取り戻していった。


「おいおい・・・良いのかよ?腕まくりなんてしちゃってさぁ?こっちには人質がいるんだぜ?」


 金属バットを片手に、ノシノシと近づいてくる大柄な男。


 きっと、ベタな刑事ドラマの見過ぎだろう・・・人質の身柄1つで俺が満足に動けないだろうと、高をくくっているのだ。


(「そんなことで動けなくなるのなら・・・こんなところに真正面から踏み込むはずが無いだろう」)

 

 そんなことすら考えられないのは、きっとその無駄にデカい胸襟を育てるために、脳が萎縮してしまったに違いない。


(「だが・・・彼女には・・・伝えておく必要があるな」)


 俺は歩いてくる男の存在を無視したように、視線を真っ直ぐ宇佐美に向ける。


 それに気付いた宇佐美も、真っ直ぐこちらを見返してくれた。


 俺は彼女に自身の真意が届くよう祈りつつ、言葉を紡ぐ。






「宇佐美・・・チョット恐いかもしれないけど、俺のこと信じて待っていて欲しい」






 今から・・・ここにいるヤツら全員ぶっ飛ばすから!






「「「!?!?!?」」」


 俺の宣言を聞いた取り巻き共は、自らの正気を疑うような視線をこちらに向けてくる!


「はあっ!?お前、彼女がどうなっても良いって言うのか!?」


「良いわけないだろ。もし、そんなことをしでかすヤツがいたら、ソイツから先にやるさ」


「っ!大体こっちは何人いると思ってやがる?100人だぞ?分かってんのか?」


 ほう・・・本当に100人も集めたのか。


 金田のその求心力は流石といったところか。


 が、しかし・・・


「お前ら100人程度・・・ものの数じゃねえんだよ」


「・・・っ、テメエ!」


 俺の軽い挑発に、怒髪天を衝いた金属バットの男。


 彼は遂に俺の頭にバッドを振りかぶった!






「わ、渡会君っ!逃げてっ!」


「くたばれぇ!」






 宇佐美の叫びと重なり聞こえた男の怒声・・・。






 それと共に振り下ろされたバットによる渾身の一撃を・・・俺は片手で受け止めた!






「なっ!!!なにい!?」


 自身の腕力に余程自身があったのか・・・バットを受け止めた俺に衝撃を隠せない男。


 ここですかさず反撃・・・といきたいところだが、俺はまだ・・・彼女からの返事を聞いていない。


 俺は再度・・・宇佐美に問いかけた。






「宇佐美・・・俺のこと、信じて待っていてくれるか?」


「うん!勿論!」






 人質という神経をすり減らす立場にいて、俺の行動如何では自らに害が及ぶ・・・。


 そんな状況下で合っても尚・・・弾けるような笑顔でそう答えてくれた彼女・・・。






(「これに答えられないようなら・・・男じゃないな!」)






 ドスッ!



 俺はバットの持ち主の腹に、お返しとばかりに1撃。  


「グオッ!?」


 大の男がその場に崩れ落ち・・・そしてバットが床を付く。


 




 カーンッ! 






 ゴングが鳴る。


 火蓋は切って落とされた!


 ここまで読んでいただきありがとうございます!

 これからも、鋭意作成し続けたいと思いますので、応援の程、宜しくお願いいたします!

 また、感想・レビュー・ブクマ・評価・コメントなどもらえると、作者は本当に喜びます!(ガチ!!!)

 ぜひ…清き一票を!!!

 

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