6-9
「爺ちゃん!!!」
脚をフル回転させ、辿り着いた我が家・・・。
古い門戸を乱暴に押し開き、玄関を引いた俺が開口一番叫んだ声に・・・
「おお!お帰りぃ」
「ん?どうした?そんな大声上げて?」
居間でくつろいでいた2人は揃ってこちらを向いた。
その姿に特に目立った外傷は見当たらない・・・。
今日の朝に見たままの姿の祖父母の姿がそこにはあった。
「爺ちゃん、祖母ちゃん・・・大丈夫!?どこか怪我とかしてない!?」
「え?優ちゃん・・・一体何のこと?」
「ワシらが怪我?」
全身から隈なく汗を掻き、息を切らして帰ってきた孫に、しきりに自分達の身を心配された祖父母達。
俺の形相が余程のモノだったのか・・・2人は各々自身の身体を方々確認してみるものの・・・
「・・・ワシらは何もなっとらんが?」
「私もよ?」
どうやら2人とも本当に五体満足のようだった。
「そ・・・そうか・・・良かった」
ようやく気を抜くことが出来た俺は・・・その場にドッカリ座り込むと、大きく息を吐く。
やがて、祖母ちゃんが運んできてくれた冷たい麦茶を一気に飲み干すと、俺は早速、爺ちゃんに、先程のスマホの件について尋ねた。
「爺ちゃん・・・スマホある?」
「ん?スマホって、ワシのか?」
「ああ」
「あるぞ・・・ほら、そこに」
爺ちゃんが指さしたのは、年中我が家の中心を陣取っているコタツ机。
今は勿論、冬も縁遠い時期である。
従って、そこに毛布の影は無く、一見、普通のちゃぶ台にしか見えないその上・・・
そこには確かに、爺ちゃんのスマホが存在していた。
俺は確認のため、そのスマホを手に持つと、ひっくり返して裏面を見る。
「あった・・・大山本のシール・・・」
そして、そこに地元出身力士の存在を見た俺は、間違いなく、このスマホが爺ちゃんのモノであることを確認する。
「おい・・・どうした?スマホの背面ばっかり見て?」
「爺ちゃん・・・1つ聞きたいんだけど・・・さっきこのスマホ誰かに貸さなかった?」
「貸す?おお・・・そういえば、さっき家を訪ねてきた、お前と同じくらいの歳の少年に、電話がしたいからスマホを貸してくれないかと頼まれてな」
「そ、それで・・・貸しちゃったの?」
「そりゃなあ・・・困っとるもんを放ってはおけんじゃろう」
爺ちゃんの情報リテラシーは、一体どの当たりの年代でストップしているのだろうか・・・?
個人情報の塊である自らのスマホをポンと預けてしまったという、爺ちゃんの話を聞いて、俺は「近々、そこら辺のことを教えてやらないとな・・・」と心に誓う。
まあ、仮にその知見があったとしても、爺ちゃんのお人好しな性格を考えれば、教えたことによる成果は余り期待できないかもしれないが・・・。
(「数年前なら、家に固定電話があったんだけどな・・・」)
それを廃止したことに、こんな副作用があろうとは・・・!
だが・・・そこまで考えて、ふと俺は疑問を抱く。
(「あれ・・・?爺ちゃんと祖母ちゃんは元気だった。なら、飛田は一体、何で俺に電話してきたんだ?」)
俺に祖父母の心配をさせ、焦って帰ってくるところを想像して悦にでも浸りたかったのだろうか・・・?
ヤツはそんなことのために、今日1日学校を休んだというのか・・・?
(「いや・・・そんな筈は無い!」)
俺は自信の背中を、運動由来のものとは異なる汗が流れるのを感じる。
そして、底知れない不安が、俺の胸中を支配した。
(「何だ・・・一体アイツは何をしようとしている?」)
と・・・その時・・・
prrrr・・・prrrr・・・
俺のスマホから着信音が響く。
手に取り画面を確認する。
そこには『宇佐美茜』の表記。
俺は直ぐさま電話に出た。
「・・・よお」
そこからは、今1番・・・聞きたくなかった声が聞こえた・・・。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
これからも、鋭意作成し続けたいと思いますので、応援の程、宜しくお願いいたします!
また、感想・レビュー・ブクマ・評価・コメントなどもらえると、作者は本当に喜びます!(ガチ!!!)
ぜひ…清き一票を!!!




