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『金色』嫌いな俺の青春  作者: えみお


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5-6


 ようやく登校してきた問題児・・・飛田の怒声によって、場の空気は一気に冷え込んだ。

 俺と飛田による最早3度目の喧嘩が勃発するかもしれない・・・そう考えたのであろうクラスメイトが、一斉に廊下に避難を開始する。


(「あの時の『避難訓練』の成果・・・確実に出てるなぁ」)


 と渦中の俺に思わせるほど、今日の彼等の行動は迅速で、先日の一件の時に比べ、約半分ほどの時間で撤退は完了したのであった。

 そうして、再び相対する俺と飛田・・・。

 ただし、以前と異なる点が明確に1つ存在する。

 それは・・・




「何ですか?飛田君」




 あの時は騒動の発端でありつつも、表立って喧嘩に介入してこなかった宇佐美が、今や明確に、こちらサイドに付いていることだった。


「う・・・うさみちゃん。髪型変えたんだね。似合ってるよ」


 飛田は、俺に対し怒りを募らせつつも、容姿を一変させた宇佐美を褒めることは欠かさない。


(「こんな時、以前の宇佐美なら「ありがとー!」くらい言ったんだろうな。けど・・・」)


 今回はあの時と状況が違う。

 俺が金田から宇佐美を助けたあの日・・・飛田達3人はあろうことか、彼女を置いて逃げ出した。


「(あの時、俺が割って入ることが無ければ、宇佐美は今頃・・・心身共に一生消えない傷を負っていたかもしれない」)


 ましてや、彼女は幼少時の過去の出来事から、尚更そういった状況で自らを守ってくれる男を求めているのだ。

 よって・・・宇佐美の返答も・・・




「・・・ありがとうございます」




 と、自身の想像通り、なんともおざなりなものになったのであった。


「えっ・・・ちょっと・・・どうしたん、うさみちゃん?いつもの元気は?」


 飛田はきっと、以前までの明るい反応を心待ちにしていたのであろう。

 それが一転・・・消え入りそうな声で、しかも敬語を用いたものに変わったのだ。

 飛田の動揺は如何ばかりだっただろう・・・?


「飛田さん・・・私、あなたに伝えておくことがあります」


「えっ・・・何々?」


 その声色から明らかに気力が抜け落ちている飛田に対し、宇佐美はさらに追い打ちとなるひと言を浴びせる。




「私・・・もうアナタと仲良くするつもりはありませんから」




 これ以上無いくらいハッキリとした、友交の断絶宣言である!


「えっ・・・うさみちゃん?」


「あと・・・私、異性として好きな人がいるんです。ですから、これ以上の接触は止めて下さい」


「・・・・・・・・・」


 この時ばかりは、流石にもうちょっとオブラートに包んだ言い方をしてやっても良かったのでは?と俺は飛田に同情してしまった・・・。

 

「・・・・・・・・・」


 誤魔化しの一切無い断絶を、入学当初からずっと好意を持ち続け、アタックし続けてきた相手から宣言される・・・もし自分にそんなイベントが起こったとしたら、その時、一体どんな気持ちになるのだろう・・・?

 

「・・・・・・・・・」


 今の飛田の様な・・・放心し、言葉も碌に紡げない状態になるのだろうか?




(「恋愛って、やっぱり怖いな・・・」)




 俺は改めてそう思う。

 本気になればなるほど、それが実らなかった時に、自らが受ける精神的ダメージはより大きいものになる。

 そして仮に運良く相思相愛の関係になったとしても、それが永久に続くという保障は何処にも無い。


(「まさに自分の親がそうだったからな・・・」)


 そう考えたとき・・・今、目の前で打ちひしがれている飛田の姿は・・・いつかの自身なのかもしれない・・・と思えた。

 俺はふと横を見る。

 そこには未だ俺の腕を放す気配の無い宇佐美の姿がある。


(「この手が離れた時・・・俺は耐えられるのか?」)


 それとも、俺もあの時の親父の様になってしまうのだろうか・・・?

 その問いに、少なくとも今の俺は「勿論、大丈夫だ!」と胸を張って答えることは出来なかった。

 

 


「・・・・・・・・・クソッ」




 幾分時が経ち、ようやく言葉を発した飛田・・・その第一声は、聞こえるか聞こえないか程度の音量で呟かれた罵倒だった。




 しかし・・・その囁きほどのか細い声には・・・きっとあらん限りの負の感情が込められていたのだろう・・・!




 ギロッ!!!




(「!!!!!!!!!」)


 飛田の視線・・・それはもう宇佐美を見ていない。

 その焦点は間違いなく俺に合わせられており・・・そして、彼から発せられた『殺気』に、俺は一瞬、肝を冷やした。 



 

「おい・・・渡会・・・絶対後悔させてやる」




 その時の飛田の声は、何時ものように不必要に大きいものでもなく、低く呻くようなもの。 しかし、おおよそ聞き取りやすいとも言えないそのひと言は、これ以上無いほどにハッキリと俺の耳に届いたのだった・・・。




 ここまで読んでいただきありがとうございます!

 これからも、鋭意作成し続けたいと思いますので、応援の程、宜しくお願いいたします!

 

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