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「クソッ・・・クソッ・・・クソオッ!!!」
俺・・・金田心の胸中は、あの渡会とかいうヤツが、俺のウサミちゃんを奪ったあの朝から、ずっと荒れに荒れていた。
学校終わりにふらりと訪れた繁華街にて・・・
俺は周りの人間の目など気にせず大声で叫びながら、憂さを晴らすべく、目に付くモノを片っ端から蹴り飛ばしながら闊歩していた。
「クソッ・・・何でっ・・・何でアイツなんだよぉ!?!?!?」
入学式の日・・・ホンモノの宇佐美茜をひと目見た瞬間から、俺は「絶対にこの女を俺のモノにしてやる!」と、そう心に決めていた。
その時点でウサミちゃんは有名で、人気者だった・・・だから、きっとその周りをウロチョロする野郎共が出てくるのは分かりきっていた・・・。
だから、入学初日の自己紹介の場でハッキリと「俺の女」だと宣言し、それでもよってくる『ハエ共』を逐一威圧することで、どうにかしてウサミちゃんとお近づきになろうとする馬鹿共を遠ざけてきたのだ!
幸運にも、ここは地元じゃ有名な進学校。
故に、気骨のある男は殆どおらず、ちょっとガン付けただけで、ケツ巻いて逃げ出すようなヤツらばかり!
翻って俺は『強い』!
それに容姿端麗、家は金持ち・・・オマケに親父には権力がある!
後の2つに関しては、いずれ俺が引き継ぐことになるのだ・・・つまり実質俺のステータスと言っても過言じゃない!
後は、肝心のウサミちゃん本人に、そんな俺の魅力を精一杯アピールし、気付いて貰うことさえ出来れば・・・きっと・・・!
そう思っていた・・・思っていたのに・・・!
「何で・・・何であんな陰キャなんかに!何で・・・何でだチクショー!!!!」
あんな『弱い』ヤツなんかに・・・!
俺に2度も喧嘩で負けたヤツなんかに・・・!
俺に殴られ吹き飛ばされ・・・地べたを這いずった陰キャなんかに・・・!
彼女のことを好きでも無く・・・なんなら避けていた節さえある男に!!!
何で俺は『自分の女』を盗られなきゃならないんだ!?
ウサミちゃんの渡会に対する本気度は、容姿を一変させてきた点からもハッキリと覗えた。
芸能人が容姿を変えるということが、高いリスクを伴う・・・そのことを、俺は父と交友関係がある芸能プロの人間から聞いたことがあった。
芸能とは人気商売。
故に、些細なイメチェンであっても、ファンが離れていく可能性・・・即ち仕事が無くなる可能性が大いにあるらしい。
今日のウサミちゃんの様相・・・アレはアレでとても似合っていた。
ギャル感のある今までの彼女と違い、清楚さとお淑やかさを強調するコーディネイトに、正直・・・これもアリだと思った。
しかし、芸能という世界は、似合っているからといって、彼女の容姿の急な路線変更を許してくれるほど肝要では無い・・・。
そのことを知らない訳がない彼女が、あそこまでしてきたこと・・・それが彼女の意思を明確にしていた・・・。
俺が選ばれなかったということを・・・
そして、彼女が選んだのが、あの『弱い』陰キャ・・・渡会であるということを!
「アイツ・・・渡会のヤツ・・・ぶっ殺してやる!」
とは言ってみるものの、正直、今の俺は正直万策尽きた状態だ。
自分が校内で立て続けに起こした2度の暴力沙汰・・・それは面子を重んじる親父にとっては当然良いモノでは無かった。
『呼び出し』と『注意』をくらい、「3度目は無いぞ」とまで言われている。
だから、これ以上学校で騒ぎを起こすわけにはいかない!
だが・・・ヤツを・・・渡会をこのまま放置するという選択肢は、俺の中に存在しない!
「クソッ・・・一体どうすりゃ・・・どうすりゃ良いんだ!」
良案が浮かばないことに、また腹が立ち、俺は目の前に再び現れたゴミ箱を蹴り飛ばす。
すると、蹴られたソレは、不規則に回転しながらも、綺麗な直線軌道を描きながら突き進み、そして・・・
「アアッ?なんだ、コレ?ゴミ箱?」
偶然そこにいた1人の金髪の少年の元に辿り着いた。
「おっ・・・お前!?」
俺は視線をおもむろにその男に向け・・・すぐに気付く。
ソイツはあの時・・・ウサミちゃんと出かけたあの日に、急に絡んできたあの男・・・カネダだった!
ここまで読んでいただきありがとうございます!
これからも、鋭意作成し続けたいと思いますので、応援の程、宜しくお願いいたします!




