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『金色』嫌いな俺の青春  作者: えみお


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28/42

3-7

 私は唯・・・知りたかっただけなのだ。

 教室から姿を消した彼・・・渡会君が去って行った扉の方を見つめながら、私は独りごちる。 知りたかったのは無論・・・彼の実力の程のことだ。

 先日の飛田との一件で、渡会君が見せた強さの片鱗・・・。

 あれが偶然やまぐれの類いで無いことを確認したかったのだ。

「友好関係を結び親交を深めれば、自らにそれを見せてくれるのでは?」という浅はかな思考から、無理矢理彼に接近し、アプローチをかけ続ける中で・・・機会は思わぬ所から浮上した。

 飛田の両親・・・特に父親が持つ権力のことは当然知っていた。

 しかし先の一件で、何のお咎めも無し・・・とは到底思えず、枷を嵌められたものとばかり思っていた。

 

(「だが、その鎖をまさか自身が解いてしまうことになろうとは・・・!」)


 教室からクラスメイトが出て行く間際、ガラにも無く右往左往してしまったのは素であった。

 真っ赤になった飛田の形相と、自身の置かれた立場を瞬時に理解し、自身の渡会君に対する行為が、結果的に飛田という火に油を注いでしまったことに気付いた時には、開戦の狼煙がとっくに打ち上がった後であり、出て行くタイミングを逸してしまっていた。


(「暴力沙汰なんて、無い方が良いに決まってる・・・」)


 それは世間の常識でもあると同時に、自身の過去にも紐付いていることである。

 ましてや、今回は自らがそのきっかけといっても過言では無い!


(「だから、本当は止めるべきだったのだ・・・どんな手を使っても・・・」)


 だが・・・その後の自身の行いは、人としての理想的な行動はおろか、まるで観客の如くこの一連の出来事を観戦しているクラスメイト達よりも、遙かに愚かで残忍なことだった。




 私は・・・暴力を誘発させたのだ!!!




 飛田の怒気が収まる兆候を見せ、事態は収束に向かっていた。

 惨劇は回避され、平和でつまらない現実を手に入れることが出来たはずだった・・・。




 その時、私の中に現れた悪魔が、囁いたのだ。

 今がチャンスだと・・・。

 待ちに待った機会が来たのだと・・・。




(「私に行為を抱いている飛田に、自身の存在を意識させる・・・そうすれば!」)


 


 彼の・・・渡会君の実力が見れるかも知れない!

 



 そして私は、考えなければいけないリスクは全て無視し、自身の渇望する未来だけを追い求めて、一言、呟いたのだ・・・。




「飛田君・・・」と・・・。




 結果・・・散々友交を持ちかけた相手は、自身の企みによって再び拳を見舞われるコトになった。




 浅はかだった。

 彼が自らの強さを隠したいのだという可能性に、私は気付いていた。

 気付いていながら・・・ソレを無視して・・・私は興味を優先した。

 



 そして・・・彼はまた暴力の餌食になった・・・。

 暴力を嫌う私が誘発した暴力によって・・・。







 その日、渡会君が教室に帰ってくることは無かった。

 授業の最中にやって来た保険医が、彼の座席から鞄を持って行ったことを、私はその後の休み時間中・・・クラスメイト達の会話を聞くことで知った。




 そんな奇怪な事態が起こったのは、自身がその後半日を上の空で過ごしていたからだ。

 私は・・・本当に今更ながら・・・ショックを受けていたのであった。

 あまりにも愚かだった、自身の行動とその結果に・・・。

 そして、暴力を何よりも嫌う私が、興味本位で暴力沙汰を起こさせたことに・・・。


(「・・・・・・・・・」)


 


 この日、仕事が入ってなかったことは幸運だった。

 こんな気持ちで手に付く仕事なんて、あるわけ無かったから・・・。




 ここまで読んでいただきありがとうございます!

 これからも、鋭意作成し続けたいと思いますので、応援の程、宜しくお願いいたします!

 

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