33 いいことあった。
「おかえりー。もう、ユウリィってばどこ行ってたの?」
「ごめん、ちょっと寄り道してた。」
深くは追究しないで!!付き合うことになったこと、絶対ばらさないし。
「あのね!ビックニュースだよ!」
「え、何?」
「大きな声では言えないんだけどね……お姉ちゃん、告白したの!!」
「もしかしなくても、借り物競争がきっかけ?」
「なんで分かったの?」
「じゃあやっぱり……」
「うん。お題に好きな人って書いてあったんだって。セイセイの隣に居たから聞こえちゃった。」
あの子達、私にも仕掛けるつもりだったんだ!!敵ながらあっぱれ、だね。
「で、千津は?」
「うーん、借り物競争後帰って来ないんだよね〜。うまくいってればいいんだけど……。」
「多分、うまくいってると思うぜ?」
「優壱、翔馬くん!き、聞こえちゃってた?」
「あぁ、バッチリ。他の奴らは先輩に夢中だから、大丈夫だと思うけど……もうちょいボリューム下げようぜ?」
「うん、そうだね。でもさ、イチくんはどうしてうまくいくと思うの?」
「ん?翔馬、分かるだろ?」
「うん、勿論。」
優壱と翔馬くんは顔を見合わせると頷いた。
「ねぇ、勿体ぶらないで教えてよ。気になるじゃない!」
「この前、星が千津ちゃんの前で本気で笑ってたから。」
「え?じゃあ、私だと愛想笑い?」
「あー、星くんだと営業スマイルとか?」
優壱と翔馬くんはまた顔を見合わせると頷いた。
「星の笑顔は仲の良さによって分かれてて……僕らなんかは一番上なんだけどね。それを引き出すのに三年かかったんだ。」
「それを、お姉ちゃんはもう引き出すことができた、と。お姉ちゃんってすごいの?
あ!お姉ちゃんとセイセイ!」
二人は手をつないでいた。わー、ラブラブ!
「おかえりー、遅かったね。」
「よかったね、千津!」
「う、うん。」
千津は少し顔を赤らめた。
「お姉ちゃん。」
「何?」
「リア充爆発しろ(ニコッ)」
「全力で遠慮するね(ニコニコ)」
姉妹は笑顔で闘っていた。コワッ!
「あ!ケイちゃん先輩とたっくん先輩!」
菜穂の声に、みんなが目を向けた。
圭一先輩も琢磨先輩も、騎馬戦の上で闘っていた。どんどんハチマキを獲得していく。
「先輩方!がんばってくださ〜い!」
と、両先輩が正面から組み合った。
「っ圭一先輩!がんばって!」
私はつい叫んでしまった。周りにみんないるのに、先輩ではなく圭一先輩と。死亡フラグが……。
そんな私の心境などお構いなしに、時間は過ぎていく。ついに10秒でタイムアップ!と、その時!
「おーい!勝ったぞ!!」
「負けたぞ!!」
最後にハチマキをゲットしたのは、圭一先輩だった。
こちらを……私を見て、笑顔で手を振っている。
はい、かっこよかったです!惚れ直しました!でも、先輩。みんなにバレちゃいますよ!?
うれしいような、悲しいような……こうして、体育大会は終わっていきました。




