32 答え、応え
「あの、先輩……?」
「……。」
無視された……!?
「先輩!」
「……何?」
「どこまで行くんですか?」
先輩は、止まることなく校舎に向かって……否、校舎裏に向かって歩いていた。ってか、手!いい加減、手を放して下さい!
そんな私の心境など知らない圭一先輩。一向に立ち止まる気配なし……。
「あの、圭一先輩?」
止まった所は校舎裏。なんていうか、予想通り……?賑わっているグラウンドとは正反対なそこは、まるで別世界のように静まりかえっていた。私が口を開くべきか迷っていると、先輩が口を開いた。
「俺が席で見てたら、いきなり優壱くんが来て……」
「優壱が?」
「うん、『優李を助けて下さい!』って。」
アイツ、何てことを……!!
「『アイツが引いたお題は[好きな人]、クラスのやつが仕掛けた、いじめのような内容なんです!!』って。」
「なんで優壱が、私の引いたお題の内容を……?」
「見ちゃったんだって、いじめっ子が書いてるところ。
……優李ちゃんのお題が好きな人だって知って、優壱くんにも頼まれちゃって……行くしかないかな〜と。」
「な、だって、は?へ、え?」
私は、お題を見たときよりもひどいパニック状態におちいった。
「だって、優李ちゃんが俺のこと好きなの、分かっちゃったから。」
「え、でも!」
「助けてあげられるのは、俺だけなら助けなきゃって思って、気づいたら走り出してた。」
あぁ、場は既にできあがっている。この後どうするかは私次第。
いつもの私ならきっと勇気が足りず口ごもっていただろう。それでも……もし、少しでも希望があるなら……!!
「……先輩。」
「何?」
「私と、付き合って下さい!」
声は震えて顔は赤い。答えを聞くのが怖くて、逃げ出したくなり、顔をあげることができなかった。
「ありがとう。こちらこそ、よろしくな、優李。」
彼は、私の手を握ってふわりと笑った。




