14 実は…(と、言うほどのことだったりした。)
それは、今からちょうど3日前……
いや、私が本当にその事件の始まりに気づいていたのは、もっと前。入学式の2日後のことだったけど。
そう、あの時。石田さんが、千津を睨んでいた時。あれがきっと始まりだ。
私は長年……失礼。小学校のころから、ずっとクラスメート達の動向を観察してきた。その主な対象は、女子。
まぁ、当たり前のことですがね。女子が男子を見続けるなんて……かなり難しいし。 (好きとか勘違いされたら困るもの。)
……えっと。そうそう、あの時の石田さんの目を見ていてね、これはヤバいと思ったの。
それは何故か?
ああいう目をしていた人が、周りに危害を加えるの、散々見てきたから。
え?助けるわけないじゃない。別に友達でもなかったし。単なるクラスメートだったから。
私がやっていたのは、黙ってこちらに危害を加えてこないか見ていただけね。
……冷たい?女子同士なんてそんなもンよ。そう。大変なの、女子社会は。
まぁ、そんな訳で……石田さんの行動が気になって、観察してたら……今からちょうど、3日前の放課後に聞いちゃったの。彼女とそのお仲間が話していた内容を。
「……だよねぇ~。」
「そうそう、あの七瀬って子よりも石田の方がかわいいよ。」
「なのにさぁ~?」
「自治委員なんかに立候補しちゃってさ。」
「何様よねぇ。」
「「そうそう。」」
「本当、ないわぁ~。」
「「ねぇ~。」」
「あの子最近、篠塚君たちと一緒に居るのよ?一緒の部活だからってことぐらいで。」
「媚び売ってるよねぇ~。」
「ぶりっこじゃん。」
「あれ、絶対自分の方がかわいいって思ってるよね~?」
「勘違いしすぎだよねぇ~。」
「そういえば、あの妹もムカつくよね。」
「篠塚君のこと……なんだっけ?」
「えっと……セイセイ?」
「そうそう、セイセイとか呼んじゃってさ。」
「馴れ馴れしいよね。篠塚君が嫌がっているのわからないのかな。」
「佐藤さん?あの子、七瀬達のあの性格知ってて一緒に居るのかな?」
「さぁ?佐藤さんも部活が同じなんだってね。あ、もしかしたら、あの子も篠塚君目当てかもよ?」
「いや、鳴宮君や、白井君の可能性の方が高いんじゃない?」
「あ、そうかも。」
「あれ、石田?黙りっぱなしで、どうかした?」
「……ねぇ、みんな。協力してくれない?」
「何に?」
「七瀬千津を陥れようと思って。」
「いいよ。楽しそうだしね。協力する。」
「私も。ねぇ、どんなことするの?」
「篠塚君にバレたら元も子もないから、1日に絞って周りにはバレないようにやるつもり。」
「それで?」
「決行は体育大会。」
「なるほど。」
「それでね……。」
その後、どんな話をしていたかはわからなかった。声が外に漏れないようにしていたから。
そういう所は、用心深いのね。私が聞いていたのには気づかなかったくせに。
結局、私が聞けたのはそれだけ。




