第五話 攻略!ダンジョンを突破せよ!17
ボス部屋突入 ~中盤戦~
ボス部屋の空気が一瞬で張りつめた。
中央の石の玉座から立ち上がった**グリズリー(D級・HP強化種)**は、想像以上の威圧感を放っていた。
その周囲を5体のカットバニーが素早い動きで守るように跳ね回っている。
クレスがシルバー・ストライクを構え、声を張り上げた。
「来るぞ! 俺が前衛! みんな、陣形を崩すな!」
戦闘が始まった。
グリズリーの巨大な爪が振り下ろされ、地面を抉る。
クレスが剣で受け止めるが、その衝撃で体が大きく後退した。
「ぐっ……重い……!」
カットバニーが素早い動きで側面から襲いかかり、
一行はたちまち劣勢に立たされた。
チェスターが矢を連射しながら叫んだ。
「カットバニーが邪魔だ! 数が多い……!」
アネットがバックラーで身を守りながらメイスを振り、
「神聖魔法・小回復! クレスくん、持ちこたえて!」
エレナが風の祝福を広げて動きを乱そうとするが、
カットバニーの跳躍が素早く、風の刃をかわされてしまう。
カイルは3体同時召喚を維持しながら、
ファングを前衛に、ルビィで回復を撒き、
スカーレットで上空から援護をさせていたが、
MPの消耗が激しく、顔が青ざめていた。
「みんな……持ちこたえて……!」
劣勢が続き、クレスがカットバニーの攻撃で肩を浅く切り裂かれた瞬間——
チェスターが冷静に、しかし力強い声で言った。
「今だ……!」
彼は先程手に入れた**魔法矢(電撃)**を1本番え、
弓を大きく引き絞った。
シュンッ!
青白い電撃を纏った矢が一直線に飛び、
カットバニー5体をまとめて貫いた。
バチバチッ! という激しい放電音とともに、
カットバニーたちが痙攣して一掃された。
グリズリーの動きが一瞬、固まった。
「今だ、クレス!」
クレスが即座に反応し、銀色の軌跡を残して突進した。
「シルバー・ストライク!!」
一閃。
レア級の剣がグリズリーの脇腹を深く切り裂き、鮮血が飛び散った。
しかし、D級強化種の巨体はまだ余裕を持って立っている。
「まだ……致命傷じゃない!」
チェスターが容赦なく2本目、3本目の魔法矢を放った。
バチバチッ! バチバチッ!
電撃がグリズリーの体を駆け巡り、巨体が大きく痙攣する。
クレスが連続で斬りつけ、ファングが牙を突き立て、
かなりのダメージを与えた。
しかし——
グリズリーが突然、深く息を吸い込み、
凄まじい咆哮を放った。
「グオオオオオオオオッ!!!」
衝撃波のような咆哮が部屋全体を揺らし、
風の召喚少年団全員が強烈なダメージを受け、体が硬直した。
「ぐあっ……!」
「体が……動かない……!」
クレスが膝をつき、
カイルは召喚獣の維持すら危うくなり、
アネットとエレナがその場に崩れ落ちた。
チェスターも弓を落とし、苦痛に顔を歪めた。
グリズリーがゆっくりと前へ歩み寄り、
巨大な爪を振り上げた。
大ピンチ——
風の召喚少年団は、
ボス戦の中盤で、
最大の危機を迎えていた。




