第五話 攻略!ダンジョンを突破せよ!18
ボス部屋突入 ~後半戦~
グリズリーがゆっくりと前へ歩み寄り、巨大な爪を振り上げた。
大ピンチ——
部屋全体に重い殺気が満ち、風の召喚少年団は硬直から抜け出せないまま、絶体絶命の危機に陥っていた。
ガァァンッ!
グリズリーの爪がクレスを直撃し、彼の体は吹き飛ばされて壁に激突した。
「ぐああっ……!」
クレスが壁に叩きつけられ、シルバー・ストライクを落として膝をついた。
さらにグリズリーの次の標的は——エレナだった。
「エレナ!!」
カイルが血相を変えて叫んだ。
「ファング!!」
硬直が解け始めたファングが、黒い影となって全力で飛び出した。
その瞬間——
ファングの体が淡い光に包まれた。
「グルルルル……!」
ファングがグリズリーの喉元にものすごい力で噛みついた。
光が爆発的に強くなり、ファングの体躯が一回り大きくなり、牙と爪がより鋭く輝いた。
ハウンドドック(ファング)が覚醒進化した!
G級(盟約により強化) → E級(盟約により強化)
盟約の絆とカイルの強い想いが、ファングを次の段階へと押し上げたのだ。
ファングの覚醒により、グリズリーが苦痛の咆哮を上げて後退した。
その隙にカイルたちは体制を立て直した。
「ファング……! ありがとう……!」
クレスは大ダメージを受け、壁に寄りかかったまま動けない。
アネットがすぐに駆け寄り、メイスを捨てて回復魔法を集中させた。
「クレスくん……! 神聖魔法・小回復! ルビィもお願い!」
ルビィが宝石を輝かせ、懸命にクレスを癒し続ける。
チェスターが弓を構え直し、牽制の矢を放ちながら叫んだ。
「グリズリーの注意を引く!
カイル、前線に出て!」
カイルは樫の杖を捨て、クレスから返してもらっていた**勇者の剣(模造剣・ダガー)**を握りしめた。
アンコモン級の刃が淡い光を放つ。
「僕も……前に出る!」
劣勢は変わらなかった。
グリズリーの爪が再びカイルを狙い、彼はかろうじて剣で受け止めるが、
体が浮き、地面に叩きつけられそうになる。
その光景を見ていたエレナが、悲鳴を上げて叫んだ。
「カイルお兄ちゃん!! やめて……!!」
その瞬間——
エレナの左手のエメラルド・ウィンドリングが強く輝いた。
やさしい風が吹き、シルフが実体化して現れた。
風の精霊はエレナの強い想いに応じ、強化された姿でグリズリーに襲いかかった。
「シルフ……!」
エレナの目から涙が溢れながらも、
彼女の風が部屋全体を優しく包み込んだ。
ファングの覚醒、
エレナの指輪の力、
そして少年少女たちの絆が、
絶望的な状況の中でわずかな希望を生み出していた。
しかし、グリズリーはまだ立っている。
戦いは、まだ後半を越えたばかりだった




