第五話 攻略!ダンジョンを突破せよ!16
ボス部屋突入 ~前半戦~
第五層の奥、厚い石の扉が重々しく開いた瞬間、冷たい風が一行の顔を撫でた。
クレスがシルバー・ストライクを構え、先頭に立った。
「……ここがボス部屋だ。
みんな、絶対に気を抜くな」
チェスターが弓を軽く引き、矢を番えたまま頷いた。
「空気が違う……かなり強い個体がいる」
カイルは三召の首飾りを強く握り、ファング・ルビィ・スカーレットを3体同時召喚した。
すでに額に汗が浮かんでいる。
「MPはまだ持つけど……長丁場は厳しいかも。
みんな、僕の回復を待たないで動いて!」
アネットはバックラーを構え、メイスを握り直した。
「私は前寄りで回復をします。
絶対に無茶はしないでください……!」
エレナは風鈴を強く握り、風の祝福を最大限に広げた。
「……みんな、絶対に無事で……」
一行は息を揃え、ボス部屋へと足を踏み入れた。
部屋は広く、天井が高く、古い石柱が並んでいた。
中央に巨大な石の玉座があり、そこに一匹のグリズリー(D級・HP強化種)が座っていた。
筋肉が異様に隆起した巨体、硬く光沢を帯びた毛皮、血走った目が一行を捉えた。
低く、獣らしい唸り声が喉から漏れる。
「グルルルルル……!」
クレスが即座に叫んだ。
「来たぞ! D級グリズリー……しかもHP強化種だ!
周りのカットバニーに注意!
俺が前衛を張る!」
戦闘開始!
グリズリーが立ち上がり、巨大な爪を振り上げて突進してきた。
その重い一撃が地面を抉り、衝撃波が部屋全体を震わせる。
クレスが真正面から受け止めた。
「うおおおっ!!」
シルバー・ストライクが銀色に輝き、グリズリーの爪を弾き返すが、
その衝撃は凄まじく、クレスが数歩後退した。
「ぐっ……重い……!」
チェスターが素早く矢を連射した。
「カットバニーを先に減らす!」
矢が5体のカットバニーを狙うが、素早い動きでかわされ、
グリズリーの援護に入る。
カイルが声を張り上げた。
「ファング、前へ! ルビィ、クレスに回復を!
スカーレット、上空からカットバニーを狙って!」
ファングが黒い影となってグリズリーの足に噛みつき、
ルビィが回復の光を浴びせ、
スカーレットが風の爪でカットバニーを切り裂いた。
しかし、敵の連携は予想以上だった。
カットバニーが素早い動きで一行の側面を突き、
グリズリーが重い爪で前衛を圧迫する。
アネットがバックラーで身を守りながらメイスを振り、
「神聖魔法・小回復! クレスくん、持ちこたえて!」
エレナが風の祝福を最大限に発動させ、
「風よ……みんなを助けて……!」と叫びながらカットバニーの動きを乱した。
しかし、グリズリーの爪がクレスを掠め、彼の体を壁に叩きつける。
「ぐあっ……!」
クレスが壁に背中を打ちつけ、息を詰まらせた。
チェスターが歯を食いしばり、
「クレス、下がれ!
このままじゃ消耗戦になる!」
カイルは息を荒げ、三体の召喚獣を維持しながら、
苦渋の表情で呟いた。
「……まだ……始まったばかりなのに……
このボス、強すぎる……」
アネットが必死に回復魔法をかけながら、
「みんな……持ちこたえて……!」
エレナが風の刃を飛ばしながら、震える声で言った。
「……カイルお兄ちゃん……どうしよう……
このままじゃ……」
ボス部屋に響くグリズリーの咆哮と、
少年少女たちの荒い息遣い。
風の召喚少年団は、
第五層ボス戦で、
予想以上の苦戦を強いられていた。




