第五話 攻略!ダンジョンを突破せよ!12
最初の試練 ~E級オーク中ボス戦~
中ボス部屋の空気が一瞬で張りつめた。
部屋の中央に座っていたオークがゆっくりと立ち上がった。
E級の個体でありながら、中ボスとしてD級相当に強化されていた。
筋肉が異様に隆起し、棍棒を握る腕は太く、目には知性と凶暴さが同居している。
「グオオオオ……人間のガキども……!」
低く響く声が部屋全体に広がった。
クレスが即座にシルバー・ストライクを構え、前へ一歩踏み出した。
「来たぞ! 中ボスだ!
俺が前衛を張る! みんな、いつもの陣形で!」
チェスターが弓を素早く引き、矢を番えた。
「了解。
動きが予想より速い……注意しろ」
カイルは三召の首飾りを強く握り、集中した。
「ファング、ルビィ、スカーレット……3体同時召喚!」
黒い影、赤い宝石の光、赤い羽が同時に展開された。
三体の召喚獣がカイルの周りを固め、戦闘態勢に入る。
アネットはバックラーを構え、メイスを握り直した。
「私も前へ出ます!
回復は後回しにしても構いません……みんなを守るために!」
エレナは風鈴を小さく鳴らし、風の祝福を最大限に広げた。
「……みんな、絶対に無事で……!」
オークが咆哮を上げ、巨大な棍棒を振り上げて突進してきた。
戦闘開始!
クレスが真正面から受け止めた。
「うおおおっ!」
シルバー・ストライクが銀色に輝き、オークの棍棒を弾き返す。
しかし中ボス強化された一撃は重く、クレスが数歩後退した。
「ぐっ……重い!」
チェスターが即座に援護した。
「右脇腹を狙う!」
矢が連続で飛んでオークの側面を射抜くが、厚い筋肉に阻まれ、致命傷には至らない。
カイルが叫んだ。
「ファング、前へ! ルビィ、クレスに回復を!
スカーレット、上空から急所を狙って!」
ファングが黒い影となってオークの足に噛みつき、
ルビィが回復の光をクレスに浴びせ、
スカーレットが鋭い風の爪でオークの肩を切り裂いた。
アネットがバックラーで身を守りながらメイスを振り、
神聖魔法を同時に唱えた。
「神聖魔法・小回復! クレスくん、持ちこたえて!」
エレナが風の祝福でオークの動きをわずかに乱し、
「風よ……みんなを助けて……!」と祈るように風の刃を飛ばした。
オークは激しく暴れ、棍棒を振り回した。
その一撃がクレスを掠め、彼の体を壁に叩きつける。
「ぐあっ……!」
クレスが壁に背中を打ちつけ、息を詰まらせた。
チェスターが歯を食いしばり、
「クレス! 深く入りすぎるな!
カイル、ファングで足を止めろ!」
カイルは即座に指示を変えた。
「ファング、足を狙え! ルビィ、クレスに集中回復!」
三体の召喚獣が連携し、オークの動きを少しずつ封じていく。
アネットが前へ出て、バックラーでクレスを守りながらメイスを振り下ろした。
「クレスくん……私も戦います!」
オークの棍棒がアネットのバックラーを強打し、彼女を後退させるが、
アネットは歯を食いしばって耐えた。
エレナが風の祝福を最大限に発動させ、
「みんな……守るよ……!」と叫びながらオークの視界を風で乱した。
クレスが壁から体を起こし、
血の混じった口元を拭いながら再び立ち上がった。
「……まだだ……!
俺は……ここで倒れるわけにはいかない!」
シルバー・ストライクが再び銀色に輝き、
クレスが全力でオークの懐に飛び込んだ。
「うおおおおおっ!!」
その一撃が、オークの脇腹を深く切り裂いた。
オークが苦痛の咆哮を上げ、
ついに膝を折った。
カイルが最後の指示を出した。
「今だ! みんな、一斉に!」
ファングの牙、スカーレットの爪、チェスターの矢、
アネットのメイス、エレナの風の刃、
そしてクレスが放った全力の一撃が、
同時にオークに突き刺さった。
E級オーク中ボス 討伐!
部屋に静けさが戻った。
クレスは息を荒げながら剣を収め、
みんなを見回した。
「……勝った……!」
カイルは三体の召喚獣を優しく撫でながら、
疲れと達成感で笑った。
「みんな……よく頑張った……」
アネットがすぐに回復魔法をかけ始め、
エレナがカイルの袖を握り、
チェスターが静かに弓を下ろした。
中ボス部屋の奥には、
さらに深い通路が続いていた。
風の召喚少年団は、
初めての中ボスを倒し、
自分たちの成長を確かに感じた瞬間だった。




