第五話 攻略!ダンジョンを突破せよ!10
ダンジョン内部への初突入
苔と蔦に覆われた石の入り口の前で、風の召喚少年団は静かに息を整えていた。
クレスがシルバー・ストライクを抜き、銀色の刃を朝の光にきらめかせた。
「よし……ここからが本番だ。
みんな、油断するな。
俺が先頭、チェスターは斥候、カイルは召喚で援護、アネットは回復、エレナは風でサポート。
いつもの陣形でいくぞ!」
カイルは三召の首飾りを軽く握り、深く息を吸った。
「ファング、ルビィ、スカーレット……3体同時でいくよ。
みんな、頼む」
黒い影、赤い宝石の光、赤い羽が同時に現れ、
三体の召喚獣がカイルの周りに並んだ。
エレナが風鈴を小さく鳴らし、
「風よ……私たちを守って……」と祈るように呟いた。
アネットはメイスとバックラーを構え、聖印に手を当てて静かに祈った。
チェスターは弓を軽く引き、
「いつでも指示を出す。
異常があればすぐに伝える」
クレスが一度だけ皆を見回し、力強く頷いた。
「行こう……僕たちのダンジョンだ!」
一行はゆっくりと、蔦を掻き分けて洞窟内部へと足を踏み入れた。
最初に迎えたのは、湿った空気と薄暗い通路だった。
壁には古い石のレリーフが薄く刻まれ、
ところどころにコボルトが巣にしていたらしい藁や骨の残骸が散らばっていた。
スカーレットが上空を飛び、空間把握で前方数十メートルを監視しながら進む。
ファングが低く唸りながら先頭を歩き、ルビィがみんなの周りをふわふわと飛んで回復の光を準備していた。
チェスターが地面の足跡を調べながら小声で報告した。
「コボルトの痕跡はまだ新しい。
でも……もっと大きな足跡も混じってる。
オーガの残党か、それとも別の何かか……注意しろ」
クレスが剣を構え直し、
「わかった。
少しずつ慎重に進もう」
通路を進むにつれ、空気が重くなっていった。
やがて、最初の広い部屋に出た。
部屋の中央に、古い石の祭壇のようなものが残っており、
その周囲に数体のスケルトン(G〈初級〉)がガチャガチャと動き始めていた。
クレスが即座に指示を出した。
「来るぞ! 俺が前衛!
カイル、ファングを前へ!
アネット、回復待機!」
戦闘が始まった。
クレスがシルバー・ストライクを銀色に輝かせて突進し、
一撃で1体のスケルトンを粉砕。
チェスターの矢が的確に頭蓋骨を射抜き、
エレナの風の刃が残りの動きを乱した。
カイルはファングを前衛に配置し、
ルビィで仲間を癒しながら、
「スカーレット、上空から援護を!」
3体同時召喚の安定感が、以前とは明らかに違っていた。
短時間でスケルトン4体を撃破した。
クレスが息を整えながら笑った。
「よし、初戦は完璧だ!
この調子でいけるぞ!」
アネットがみんなの傷を癒しながら、
「まだ序盤です。
気を引き締めていきましょう」
カイルは三召の首飾りをそっと触り、
小さく頷いた。
「うん……僕たちなら、きっと大丈夫」
洞窟の奥から、かすかな風が吹いてきた。
それは、まるで彼らをさらに奥へと誘うかのようだった。
風の召喚少年団は、
自分たちだけのダンジョンに、
初めて本格的に足を踏み入れた瞬間だった。




