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カイルの愉快な冒険  作者: KYO
第一章~風の召喚少年団~
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ロイ・ワゴンとの契約の後日談2

10年後の約束


――あれから10年。

晶剣のラクシアは変わらず、しかし風の召喚少年団の面々はすっかり大人になっていた。

カイル・ランチェスター、22歳。

今やS級冒険者として大陸中にその名を知られる存在となっていた。

三体の召喚獣を同時に操り、優れた指揮力と冷静な判断で数々の大依頼を成功させ、

「晶剣の白き召喚士」の異名を取っていた。

その日、カイルは久しぶりにリーフェの里へ帰郷していた。

里の入り口で馬車を降りた彼の首には、今も淡い青紫色の三召の首飾りが輝いていた。

10年前にロイ・ワゴンから買った、あのネックレスだ。

「ロイさん……今頃どうしているかな」

懐かしい里の景色を眺めながら歩いていると、聞き覚えのある馬車の音が近づいてきた。

「よお、カイル! いや、今はもう『S級のカイル様』か?」

陽気な声とともに、荷台いっぱいに商品を積んだ馬車が止まった。

ロイ・ワゴンだった。

10年経っても変わらぬ笑顔と、ただ少しだけ白髪が増えただけの、いつもの行商人姿。

カイルは思わず笑顔になった。

「ロイさん……! 相変わらず元気そうですね」

ロイは馬車から降り、懐かしそうにカイルの肩を叩いた。

「S級になったって話は聞いてるぞ。

大陸中を駆け回ってるらしいじゃないか。

……それで、約束は覚えてるか?」

カイルは胸の首飾りを軽く触り、笑った。

「もちろんです。

ロイさんの依頼は、いつでもF級価格で請け負います。

それが10年前の契約ですから」

ロイは満足げに髭を撫で、荷台の布をめくった。

「実は今、ウィンドリーフまで急ぎの荷物を運ばなくちゃならなくてな。

護衛を頼みたい。……F級価格で、な?」

カイルは即座に頷いた。

「了解です。

僕のパーティーも今、里に集まってるので、すぐに手配します」

その時、里の広場から懐かしい声が聞こえてきた。

「カイル! 遅いぞ!」

クレス(23歳)が、立派に成長した体躯で歩いてきた。

腰には今もシルバー・ストライクが差してある。

その後ろには、チェスター(23歳)、アネット(24歳)、エレナ(21歳)もいた。

全員がそれぞれの道を歩みながらも、今日だけは里に集まっていた。

ロイは一同を見て、感慨深げに笑った。

「風の召喚少年団……いや、今はもう立派な大人だな。

10年前のガキどもが、こんなに立派になるなんて……」

カイルは仲間たちと顔を見合わせ、

ロイに向かって深く頭を下げた。

「ロイさんのおかげです。

あの時の首飾りが、僕の召喚を大きく変えてくれました。

……これからも、約束は守ります」

ロイは照れくさそうに笑い、馬車に乗り込んだ。

「よし、じゃあ出発だ!

S級の護衛が付くなんて、俺も運がいいぜ!」

一行はロイの馬車を囲むようにして、ウィンドリーフへと出発した。

10年前の少年たちは、

今や大陸に名を馳せる冒険者となりながらも、

あの頃の約束を、ちゃんと覚えていた。

馬車が里の道を進む中、

カイルは三召の首飾りをそっと握り、

心の中で静かに呟いた。

(ロイさん……

これからも、ずっと守りますよ)

風が、優しく一行の背中を押していた。

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