ロイ・ワゴンとの契約の後日談
ロイ・ワゴンとの契約の後日談
契約から五日後。
リーフェの里は穏やかな朝を迎えていた。
カイルは家の裏庭で、そっと息を整えていた。
首にかけている淡い青紫色のネックレス——三召の首飾り——が、朝陽を受けて静かに輝いている。
「よし……試してみよう」
カイルは目を閉じ、集中した。
「ファング……ルビィ……スカーレット……来い!」
三つの魔力が同時に呼び覚まされ、
黒い影、赤い宝石の光、赤い羽が同時に現れた。
ファング、ルビィ、スカーレットの三体が、同時にカイルの周りに立った。
「……できた……!」
カイルは驚きと喜びで声を上げた。
以前は2体が限界だったのに、今は明らかに負担が軽い。
MPの消耗も、以前よりずっと緩やかだった。
ルビィが「ルビィ~♪」と甘えた声を上げ、
ファングが満足げに尻尾を振り、
スカーレットが優雅に翼を広げてカイルの肩に止まった。
カイルは胸を高鳴らせながら呟いた。
「ロイさん……本当にすごいアイテムだ……
これで、みんなを守れる力がまた一つ増えた……」
その日の午後、里の入り口に馴染みの馬車の音が響いた。
ロイ・ワゴンがいつもの陽気な笑顔で荷台から降りてきた。
「おう、カイル! 元気か?」
ロイはすぐにカイルの首元に目をやり、満足げに頷いた。
「ほう、三召の首飾り、ちゃんと着けてるな。
どうだ? 効果は感じてるか?」
カイルは嬉しそうに頷いた。
「はい! 今朝、3体同時召喚を試してみました。
本当に消費が軽くなって……すごく助かります!
ロイさん、ありがとうございます!」
ロイは豪快に笑いながら、荷台から小さな包みを取り出した。
「気に入ってくれたようで何よりだ。
……さて、契約の最初の仕事だ。
今度、ウィンドリーフまで荷物を運ぶんだが、
護衛を頼みたい。F級相当の格安価格でな」
カイルは迷わず答えた。
「わかりました! 喜んで引き受けます!」
ロイは満足げに髭を撫でた。
「いい返事だ。
将来、お前がS級になっても、この約束は変わらんぞ?」
カイルは笑顔で頷いた。
「もちろんです。
ロイさんが困ってる時は、いつでも呼んでください」
その様子を少し離れたところでクレスとエレナが見ていた。
クレスが感心したように言った。
「カイル、いい契約したな……
将来有名になっても、ロイさんの依頼を安く受けるなんて……
なんか、かっこいい約束だ」
エレナは指輪をそっと撫でながら、優しく微笑んだ。
「……カイルお兄ちゃんは、いつも人のことを考えてくれるよね」
カイルは三召の首飾りを軽く握り、
心の中で静かに誓った。
(これからも……みんなと一緒に、
約束を守りながら、強くなっていこう)
ロイ・ワゴンの馬車は、
いつものように里を後にした。
風の召喚少年団とロイ・ワゴンとの、
長い信頼の物語が、静かに始まっていた。




