第五話 攻略!ダンジョンを突破せよ!4
シルフェリアの里への護衛依頼
オーガロード討伐から数日後、リーフェの里のギルド支所はいつもより依頼が増えていた。
マーサおばちゃんが掲示板から依頼書を外しながら、風の召喚少年団に声をかけた。
「みんな、ちょうどいいところに来たわね。
先日の事件の影響で、リーフェとシルフェリアの里の間も少し危なくなってるの。
護衛依頼が立て続けに入ってるわ。
……普段ならH級には回ってこない依頼だけど、今は人手が足りないのよ」
おばちゃんは少し困った顔で依頼書を差し出した。
護衛依頼(F級)
内容:エルフの親子をリーフェの里からシルフェリアの里まで護衛
報酬:金貨12枚+ギルドポイント12P+幸運判定
注意:道中にゴブリンやスネークが出没する可能性あり
クレスがすぐに剣の柄に手を置き、目を輝かせた。
「シルフェリアの里か……僕たちで大丈夫ですか?」
おばちゃんは微笑みながら頷いた。
「あなたたちなら信頼できるわ。
特にカイルくんの召喚獣は心強いし、クレスくんの剣も評判よ。
受けてくれる?」
カイル、チェスター、アネット、エレナが顔を見合わせ、
全員が同時に頷いた。
クレスが代表して答えた。
「引き受けます!」
依頼主は、シルフェリアの里に住むエルフの母娘だった。
娘はエレナと同じくらいの年齢の、可愛らしいエルフの少女だった。
母は丁寧に頭を下げた。
「突然の依頼で申し訳ありません。
親戚のところへ急いで帰らなければならなくて……
どうか、よろしくお願いします」
エレナが少女を見て、優しく微笑んだ。
「大丈夫ですよ。私たちも一緒に頑張ります」
こうして、風の召喚少年団はシルフェリアの里への護衛任務に就いた。
一行は大八車を借り、母娘を乗せてシルフェリアの里へと出発した。
道中は比較的穏やかだったが、森の奥から不穏な気配が漂っていた。
チェスターが先頭で斥候を務めながら、低い声で言った。
「前方、茂みに動きあり。……ゴブリンだ。4匹」
クレスがシルバー・ストライクを抜いた。
「よし、迎え撃つ!」
戦闘開始!
ゴブリン4匹が茂みから飛び出してきた瞬間、クレスが先陣を切った。
銀色の刃が輝き、1匹を一撃で斬り倒す。
チェスターの矢がもう1匹の喉を射抜き、
カイルはファングを召喚して前衛を強化。
ルビィが回復の光を放ち、エレナの風の刃がゴブリンの動きを乱した。
アネットが後方から神聖魔法をかけながら、
「みんな、油断しないで!」
短時間で4匹を全滅させた。
クレスが剣を振り、息を整えながら笑った。
「よし、問題なし!」
さらに進むと、今度は道の脇の草むらからスネーク(G〈初級〉)の群れが襲いかかってきた。
チェスターが即座に警告した。
「スネークだ! 毒があるぞ!」
クレスが前へ出て盾のように立ち、
「俺が受け止める! カイル、援護を!」
カイルはファングを前に出し、
ルビィで毒を受けた仲間に即時回復をかけながら戦った。
エレナの風がスネークの動きを封じ、アネットの浄化魔法が毒を消していく。
チェスターの正確な矢が頭を射抜き、
クレスがシルバー・ストライクで確実に仕留めていった。
「これで最後!」
最後のスネークを倒した瞬間、クレスが息を吐いた。
「無事だ……みんな、よくやった!」
夕暮れ前、無事にシルフェリアの里へ到着した。
エルフの母娘は深々と頭を下げ、
「本当にありがとうございました。
あなたたちのような頼もしい冒険者さんに守っていただけて、心強かったです」
報酬を受け取り、5人は里の入り口で小さくガッツポーズをした。
クレス「護衛依頼、初めてだったけど……いい経験になったな」
カイル「うん。みんなと一緒なら、どんな道も怖くないよ」
エレナはカイルの袖をそっと握り、
静かに微笑んでいた。
シルフェリアの里に到着した風の召喚少年団は、報酬を受け取った後、里の防具工房へと足を運んだ。
木々の間に作られた優雅な店が並ぶ中、一行は新しく手に入れたお金で装備強化を目指した。
〈クレス〉
すでにレア級のシルバー・ストライクを持っているため、
剣のメンテナンスと、エルフ製の軽量前腕ガードを購入。
「これで剣を振るいやすくなる」と満足げだった。
〈チェスター〉
高品質の矢を大量に補充し、弓の弦を新調。
さらに、斥候用の薄い風除けマントを購入して「隠密性が上がる」と頷いていた。
〈アネット〉
神官用ローブの内側に、風魔法が織り込まれた薄い防護布を追加。
回復魔法の詠唱を妨げないよう調整された特注品で、
「これならもっと長時間癒し続けられます」と嬉しそうだった。
〈エレナ〉
叔母からもらった緑革胸当てが気に入っていたため、
それに合わせた軽量の風除けマントと、シルフを呼びやすくする小さな風鈴を購入。
「これで風がもっと呼びやすくなる……」と微笑んでいた。
〈カイル〉
一番の買い物だった。
兄のお下がりの革の胸当てはすでに傷だらけだったため、
新しく軽量の召喚士用胸当て(淡い紫のラインが入った、エルフ風のもの)を購入。
さらに、樫の杖の先端に小さな風晶石を付けてもらい、
「これでMPの消耗が少し抑えられるかも……」と目を輝かせていた。
店主のエルフが最後にサービスで、
全員分の小さな幸運のお守り(風晶石の欠片)をプレゼントしてくれた。
買い物を終え、里の広場で一休みしていると、
クレスが新しく買った前腕ガードをはめながら言った。
「これで少しはまともな冒険者らしくなったな」
カイルは新しい胸当てを叩きながら、
ルビィを肩に乗せて笑った。
「うん! これでまた、みんなを守れる気がする」
エレナがカイルの隣で、風鈴を小さく鳴らしながら、
嬉しそうに頷いた。
「……私も、もっと頑張れるよ」
チェスターとアネットも、それぞれ新しい装備に満足した表情を浮かべていた。
護衛依頼の報酬は、
彼らの装備を確かに一歩強くした。
風の召喚少年団は、
シルフェリアの里の柔らかな風を浴びながら、
次の冒険へと気持ちを新たにしていた。




