第四話 緊急依頼!オーガを倒せ!6
洞窟の主
村長の屋敷の屋根で、カイルは集中を極限まで高めていた。
「スカーレット……もう少し奥まで……慎重に……」
赤い翼が夜の闇を滑るように洞窟の奥深くへと潜入した。
カイルの視界に、薄暗い洞窟内部が広がる。
──そして、彼は見た。
洞窟の最奥、大きな空洞の中で、
巨大なオーガが岩を背もたれに座り、眠っている。
体躯は通常のオーガの倍近くあり、筋肉が異様に隆起し、頭には原始的な骨の冠のようなものが付いていた。
その周囲には、普通のオーガが5体、警戒を解いて休んでいる。
カイルの顔から血の気が引いた。
「見つけた……!」
彼はすぐにマイケル・ロングとA級冒険者ピピン・クロイスのもとへ駆け込んだ。
「マイケルさん! ピピンさん!
見つけました! 洞窟の最奥に……とてつもなく大きなオーガが!
周りに普通のオーガが5体います!」
マイケルは目を細め、低く唸った。
「……オーガロードの可能性が高いな。
ただのオーガじゃない。知能が高く、群れを率いるタイプだ。
今までの被害の裏で、こいつが全て操っていたのかもしれん」
ピピンが双剣の柄に手をかけ、鋭く言った。
「やるしかないわね。
少数精鋭で一気に叩く」
マイケルは即座に突入計画を立てた。
しかし、道案内を巡って一悶着が起きた。
カイルが真剣な顔で言った。
「僕が案内します。あの洞窟は子供の頃に遊んでいた場所なので、よく知ってます」
マイケルは即座に却下した。
「却下だ。
お前はまだ12歳だ。危険すぎる」
チェスターも手を挙げたが、同じく却下された。
そこへレオン・ランチェスターが進み出た。
「俺が案内します。
カイルと一緒に昔、よくあの辺で遊んでいました。
E級ですが、里の人間として役に立ちたい」
ギルド職員は渋ったが、騎士隊長が前に出た。
「レオンならば信頼できる。
私の小隊が護衛につく」
こうして道案内役はレオンに決定した。
〈突入部隊(計7名)〉
マイケル・ロングとそのパーティー(5名)
ピピン・クロイス(A級・双剣士)
アレス・アルベイン(クレス父・元西都一の剣士)
神官戦士長(教会の精鋭)
〈道案内&フォロー部隊〉
レオン・ランチェスター(E級)
騎士団小隊(10名)
教会関係者(回復・支援担当)
夜明け前、里の北門。
マイケルが大斧を担ぎ、全員を見回した。
「よし……いくぞ。
目標はオーガロードの討伐。
絶対に里に被害を及ぼすな」
アレスが静かに剣を抜き、
ピピンが双剣を回転させ、
神官戦士長が祈りを捧げた。
レオンはカイルに小さく手を振り、
「弟を守っててくれ」とだけ言い残して、騎士団とともに洞窟へと向かった。
カイルは屋敷の屋根から、
スカーレットを高く飛ばし、
祈るような気持ちで彼らを見送った。
今、
オーガロード討伐の突入が始まる。




