第四話 緊急依頼!オーガを倒せ!3
忍び寄る影
あれから一週間が過ぎた。
リーフェの里は、静かなる緊張に包まれ続けていた。
オーガの本体は未だ発見されず、行方は全くの不明。
しかし、里の周囲では明らかなオーガの被害痕跡が次々と見つかっていた。
森の奥の木々が根元からへし折られている
大きな足跡と、木の幹に残された爪痕
野生動物の死骸が無残に引き裂かれている現場
辺境伯領から騎士団の小隊も到着し、里の警備を強化していたが、オーガの姿は一向に現れなかった。
その代わりに、別の脅威が忍び寄っていた。
ゴブリンの活動が急激に活発化したのだ。
今までは散発的にしか見られなかったゴブリンたちが、組織立った動きを見せ始め、
ゴブリンロードやボブゴブリンの姿も確認されるようになった。
里の周辺で小規模な襲撃が相次ぎ、軽傷者・中傷者が続出していた。
風の召喚少年団も、それぞれの役割で里の支援に奔走していた。
アネットは父である司祭とともに、
怪我人の治療に追われていた。
ルビィもアネットの傍らで回復の光を放ち続け、
小さな体で懸命に村人の傷を癒していた。
エレナも手伝いをしていた。
クレスとチェスターは、
各家庭への食料配給と、里の巡回警備を担当していた。
クレスはシルバー・ストライクを腰に差したまま、
重い米袋を運びながら子供たちを励まし、
チェスターは斥候スキルで里の周囲を常に警戒していた。
そしてカイルは——
毎日、MPが続く限りスカーレット(レッドホーク)を飛ばし続けていた。
里の中央にある村長の屋敷の屋根に座り、
範囲を少しずつ広げながら索敵を繰り返す。
「スカーレット……もう少し遠くまで……
オーガの気配、どこかにあるはずだ……」
スカーレットは忠実に飛び続け、
カイルの視界を広げてくれたが、
オーガ本体の姿は一向に捉えられなかった。
夜、道場に避難している家族の元に戻ると、
カイルは疲れ切った顔でルビィを抱きしめた。
リリアは心配そうにカイルの肩に手を置き、
「もう無理しないで……」と何度も言ったが、
カイルは小さく首を振った。
「僕にしかできないことだから……
みんなが頑張ってるのに、僕だけ休むわけにはいかないよ」
ある夜、村長の屋敷で緊急会議が開かれた。
マイケル・ロングも疲れた顔で出席し、
カイルの肩を叩いて言った。
「カイル、よく頑張ってる。
無理はするなよ。
お前はまだ子供だ」
カイルは静かに、しかしはっきり答えた。
「でも……この里は僕の故郷です。
守りたいんです」
その言葉に、部屋にいた大人たちも、
一瞬、言葉を失った。
オーガはまだ姿を見せず、
ゴブリンの脅威は日増しに強くなっていく。
風の召喚少年団の少年少女たちは、
自分たちの小ささを痛感しながらも、
必死に里を守るための役割を果たし続けていた。
影は、静かに、しかし確実に里へと近づいていた。




