第四話 緊急依頼!オーガを倒せ!
里を襲う影
リーフェの里に、久しぶりの平穏が訪れていた矢先だった。
朝のギルド支所に、血相を変えた村人が飛び込んできた。
「オーガだ! 森の奥からオーガが出てきた!!
今、里の北側を荒らしてる!」
マーサおばちゃんの顔色が変わった。
すぐに緊急依頼が発令された。
緊急強制依頼:オーガ討伐
対象:D級以上の冒険者
内容:リーフェの里近郊に出現したオーガ(推定B級)の討伐
報酬:金貨50枚+特別ポイント+素材権利
里は一気に騒然となった。
風の召喚少年団の5人は、広場で集められ、村長から直接言い渡された。
「君たちはH級だ。
今回の緊急依頼はD級以上のみ。
里の外へは絶対に出るな。
家で大人しくしていなさい」
クレスが悔しそうに拳を握った。
「でも、里が危ないのに……!」
村長は厳しい顔で首を横に振った。
「子供は守られる側だ。
これは命令だ」
カイルは唇を噛み、ファングの頭を強く撫でた。
エレナは不安げにカイルのグランマントの裾を握りしめていた。
その日の午後、次男レオンが急いで里に帰ってきた。
E級の彼も正式な強制依頼の対象ではなかったが、
「弟や家族がいる里を守る」と自ら志願し、パーティーメンバーとともに里の入り口を守る任務に就いた。
レオンは剣を握り、里の北門に立っていた。
「カイル……絶対に我慢していろよ」
夜が更ける頃。
里の外では、すでにD級以上の冒険者たちがオーガ討伐に向かっていた。
遠くから、時折、獣のような咆哮と戦闘の音が聞こえてくる。
ランチェスター家では、家族全員が集まって夕食をとっていたが、誰もが落ち着かない様子だった。
リリアはスープをよそいながら、ずっとため息をついていた。
「レオンもカイルも……なんでこんなときに……」
カイルは窓の外を気にしながら、
ルビィを膝に乗せて小さく呟いた。
「……僕たちも、役に立ちたいのに……」
その時、遠くから再び大きな咆哮が響いた。
里全体が、静かに、しかし確かに緊張に包まれていた。
風の召喚少年団は、
初めて「自分たちがまだ子供でしかない」という現実を、
痛いほどに突きつけられた夜だった。




