第三話 始動!風の召喚少年団!13
太陽と月
ある雨の日の午後、風の召喚少年団は森の奥でF級クエスト「ウェアラット退治」を受けていた。
雨が激しく降りしきる中、湿った洞窟のような窪地でウェアラットの大群(F〈低級〉)に遭遇した。
腹を空かせた大型のネズミたちが、鋭い牙を光らせて一斉に襲いかかってきた。
クレスがシルバー・ストライクを抜き、雨を切り裂くように前へ躍り出た。
「俺が前衛だ! みんな、ついてこい!」
銀色の刃が雨の中で輝き、1匹のウェアラットを真っ二つに斬り裂いた。
しかし、雨で視界が悪く、左右からさらに多くのウェアラットが迫ってくる。
「クレス! 左後方から3匹!」
チェスターの声が、雨音の中でも鋭く響いた。
彼は素早く弓を引き、雨をものともせず連続で矢を放った。
3本の矢が正確にウェアラットの急所を射抜き、クレスへの攻撃を防いだ。
クレスは笑いながら叫んだ。
「チェスター、ナイスだ!
お前がいると本当に心強いぜ!」
クレスが熱く前へ突き進むほど、チェスターは冷静に全体を見渡し、的確な指示を飛ばす。
「クレス、深く入りすぎるな。
右に回り込め! アネット、クレスに回復を!」
アネットが神聖魔法をかけながら、
エレナが風の祝福で雨を少しだけ逸らし、カイルがファングとルビィを同時召喚して援護する。
特に危うくなったのは、クレスが大型のウェアラットに囲まれた時だった。
クレスは歯を食いしばり、
「この程度で……俺は倒れない!」
と叫びながら突進した。
その瞬間、チェスターが低く、しかし力強い声で言った。
「クレス、無茶するな。
お前が倒れたら、俺たちが困る。
……俺がいる。信じろ」
その言葉に、クレスは一瞬だけ笑った。
「ああ……わかってる!」
クレスが勇気を爆発させ、シルバー・ストライクで大型ウェアラットを斬り倒す。
チェスターの矢が同時に残りの個体を仕留め、戦闘は終了した。
雨が少し弱まった後、クレスは剣を収め、濡れた髪を振りながらチェスターに言った。
「チェスター、お前がいなかったら、俺は絶対に無茶してやられてたかもな」
チェスターは弓を肩に担ぎ、淡々と答えた。
「そのために俺はいるんだ。
お前が太陽なら、俺は月だ。
お前が目立つ分、俺は後ろから全部見ている」
クレスは少し照れくさそうに笑い、
チェスターの肩を軽く叩いた。
「右腕、ってやつだな」
チェスターも珍しく小さく微笑んだ。
「ああ。お前が勇者になるなら、俺はその右腕でいるよ」
雨上がりの森に、二人の影が長く並んで伸びていた。
太陽のような熱さと、月のような冷静さ。
二人が揃うことで、風の召喚少年団は確かに「一つのパーティー」として輝き始めていた。




