第三話 始動!風の召喚少年団!11
ランチェスター家の夕食
その夜、ランチェスター家は久しぶりに全員が揃っていた。
長いテーブルに並べられたのは、母リリアの作った野菜たっぷりのシチュー、焼きたてのパン、バルドが獲ってきた鹿肉の燻製、そして新鮮なサラダ。
ルークが大喜びで席に着き、ミラが笑いながらスープをよそっている。
次男レオンが里に帰ってきたのだ。
「ただいま! みんな、元気だったか?」
レオンは19歳らしい明るい笑顔で家に入り、家族全員を抱きしめた。
特にカイルの頭をガシガシと撫でながら、
「カイル、大きくなったな。お前、最近ずいぶん活躍してるらしいじゃないか」
いつもなら「兄ちゃんの冒険話聞かせて!」と目を輝かせるカイルだったが、今日は少し照れくさそうに座っていた。
夕食が始まると、話題は自然とカイルに移った。
レオンがスプーンを置き、真剣な目で聞いた。
「なぁ、カイル。グレイヴォルフを倒したって本当か?
それにリーフェの里のキャタピラー退治の話も聞いたぞ。詳しく聞かせてくれよ」
カイルはフォークを握ったまま、顔を赤くした。
「え、えっと……グレイヴォルフはみんなで協力して倒したんだ。
クレスがリーダーやって、チェスターが矢を撃って、アネットが回復して……
僕もファングとルビィを出して……」
ルークが目をキラキラさせて割り込んだ。
「カイル兄ちゃん、かっこよかったんだよ!
クレス兄ちゃんもすごかったけど!」
レオンは感心したように頷きながら、
「へえ……H級のパーティーでネームドモンスターか。
お前、ほんとに魔獣召喚士として成長してるんだな。
スカーレットって新しい召喚獣も契約したんだろ?」
カイルが少し得意げに頷くと、
「うん。レッドホークだよ。
空間把握と回避が得意なんだ」
レオンは珍しく真剣な顔で弟を見つめ、
「すごいな、カイル……
俺がEランクで苦労してる頃、お前はもうそんな活躍してるなんて……兄ちゃん、ちょっと悔しいぞ」
その言葉に、カイルはますます照れくさくなった。
リリアはスプーンを強く握りしめ、明らかにむくれていた。
「……レオンまでカイルを煽らないで。
あの子、まだ12歳なのよ?
危ない目に遭ってるって聞いたら、心配で夜も眠れないんだから……」
バルドが苦笑しながらリリアの肩を叩いた。
「まあまあ、リリア。
カイルはちゃんとみんなと一緒に頑張ってるんだ。
ほら、今日も畑のキャタピラーをちゃんと退治してきたんだろ?」
ガルドも穏やかに言った。
「母さん、カイルはもう子供じゃない。
少しずつ冒険者として自立しようとしてるんだ。
見守ってやろうぜ」
ミラがフォークを置きながら、にこっと笑った。
「そうだよ。お母さん、カイルは最近、胸当てもちゃんと着てるし、
新しい召喚獣も増えて、ちゃんと強くなってるよ」
エリオも頷いた。
「俺も道場でカイルを見てるけど、最近動きが良くなってきたぞ」
リリアはまだむくれた顔で、
「……でも、怪我したらどうするの……
レオンみたいに危ない道に進まないでって、何度も言ってるのに……」
カイルは少し申し訳なさそうに、でもはっきりと言った。
「母さん……ごめん。
でも、僕、みんなと一緒に冒険者になりたいんだ。
失敗もしたけど……次は絶対に、みんなを守れるようになるから」
その言葉に、リリアはため息をつきながらも、
少しだけ表情を緩めた。
「……本当に、無茶だけはしないでよ?」
レオンが笑いながらカイルの肩を叩いた。
「母さん、ちょっとカイルを甘やかしすぎだぞ。
でも……弟がこんなに頑張ってるの見ると、兄ちゃんも嬉しいよ。
これからも、たまには里に帰って報告してくれ」
テーブルに温かい笑い声が広がった。
カイルは胸の奥が熱くなるのを感じながら、
フォークを握りしめた。
(みんな……ありがとう。
僕、もっと強くなるから)
ランチェスター家の夕食は、
いつものように賑やかで、
少しだけ温かく、
そして少しだけ未来への希望をはらんで続いていった。




