第三話 始動!風の召喚少年団!8
リーフェの里の朝は、いつものように穏やかだった。
フォーチュン・ソード リーフェ支所
マーサおばちゃんが掲示板から一枚の依頼書を外しながら、5人に声をかけた。
「今日のクエストは『畑を荒らすキャタピラー退治』よ。
リーフェの里の畑を中心に、G〈初級〉のキャタピラーが10匹以上出てるみたい。
報酬は金貨7枚+ギルドポイント7P+幸運判定1回。
……みんな、ちゃんと新装備で頑張ってね?」
クレスがシルバー・ストライクの柄に手を置き、胸を張った。
「任せてください! 新装備のお披露目にもちょうどいい!」
カイルは革の胸当て(ガルドのお下がり)を軽く叩きながら、
「ファングとルビィで頑張るよ! スカーレットは待機だ」
エレナが左手のエメラルド・ウィンドリングをそっと撫で、
「……みんなで、ちゃんと畑を守ろうね」
こうして風の召喚少年団は、久しぶりの里のクエストを受注した。
ランチェスター家の麦畑。
父バルドがため息をつきながら地面を指差していた。
「まただ……キャタピラーの奴らが葉を食い荒らして、今年の麦がやばいぞ」
5人が到着すると、バルドは少し驚いた顔をしたが、すぐに笑顔になった。
「ほう、みんなで来てくれたか。頼もしいな」
一行はすぐに畑の奥へと進んだ。
チェスターが斥候スキルを発揮し、低い声で報告した。
「前方、草むらに5匹……さらに奥に3匹。合計8匹確認」
クレスが剣を抜いた。
「よし、一気に片付けるぞ!」
戦闘開始!
草むらから緑色の大きな毛虫——キャタピラーが何匹も這い出てきた。
クレスが先頭に躍り出た。
「シルバー・ストライク! くらえ!」
銀色の刃が輝き、1匹のキャタピラーを真っ二つに斬り裂いた。
チェスターが素早い連射で2匹の動きを封じ、
アネットが後方から神聖魔法をかけながら、
「神聖魔法・小回復! みんな、油断しないで!」
カイルは樫の杖を構え、2体同時召喚で指示を出した。
「ファング、前へ! ルビィ、回復待機!」
(現在、カイルはまだ3体同時召喚ができないため、最大2体で戦っていた)
ファングが黒い影となって突進し、キャタピラーを噛み砕く。
ルビィが額の宝石を輝かせて仲間たちに回復の光を浴びせた。
エレナが風の祝福でキャタピラーの動きを鈍らせ、
「風よ、止めて!」
あっという間に8匹すべてを倒した。
クレスが剣を振り、汗を拭いながら笑った。
「ははっ、新装備の威力、抜群だな!」
アネットがホッと胸を撫で下ろした。
「みんな無事でよかった……」
しかし——
畑のさらに奥から、ガサガサという大きな音が聞こえてきた。
カイルの表情が変わった。
「待って……まだいる! しかも大きい……!」
最後の1匹——体長1メートル近い巨大キャタピラーが、畑の中心に姿を現した。
クレスが剣を構え直した。
「よし、最後の一匹だ! みんな、集中!」
カイルはファングとルビィを維持したまま、勇者の剣(模造剣・ダガー)を強く握った。
「ファング、ルビィ、頼む!」
一行は息を合わせて最後のキャタピラーに挑み、無事に討伐を完了した。
畑の戦いは無事終了。
合計9匹のキャタピラーを退治した風の召喚少年団は、バルドから温かい麦茶と新鮮な野菜のお裾分けをもらった。
マーサおばちゃんに報告すると、いつもの笑顔で報酬を手渡された。
「よくやったわね、風の召喚少年団!
これでリーフェの里の畑も助かったわ」
クレスがみんなを見回し、満足げに言った。
「よし……今日も無事クエスト完了だ!
次も頑張ろうぜ!」
カイルはルビィを肩に乗せ、ファングの頭を撫でながら、
小さく拳を握った。
「うん……みんなと一緒なら、どんなクエストも怖くないよ」
夕陽が畑を優しく染め、
風の召喚少年団は、また一つ小さな勝利を手に入れたのだった。




