第二話 「風の召喚少年団」結成9
バルドゥークの鍛冶工房を出た一行は、午後の陽射しを浴びながら大通りを歩いていた。
クレスは新しい片手剣(レア級)を腰に差したまま、嬉しそうに何度も柄に触れていた。
しかし、財布の中身はほとんど空っぽになっていた。
カイルがグランマントの裾を翻しながらため息をついた。
「……お金、ほとんどなくなっちゃったね。
もうあまり遊べないや……」
クレスが苦笑いしながら頷いた。
「そうだな。剣買ったらほとんど飛んじまった」
チェスターが冷静に言った。
「じゃあ、ここで別行動にしよう。
俺とクレスはちょっと行きたい所がある」
アネットも微笑んで、
「私もクレスたちと一緒に街を見て回るわ。
カイルくんとエレナは?」
カイルは少し迷ったあと、はっきりと言った。
「僕は召喚契約についてもっと知りたくて、ギルドに戻りたい。エレナ、一緒に来てくれる?」
エレナがすぐに頷いた。
「……うん。カイルお兄ちゃんについて行く」
クレスが勇者の剣(模造剣・ダガー)をカイルに返しながら、
「カイル、ありがとな。
これ、ちゃんと返すよ」
カイルは樫の杖をクレスに返そうとしたが、クレスは首を振った。
「その杖、カイルが持ってる方が似合うよ。
召喚士っぽいし」
カイルは照れくさそうに杖を受け取り、
「じゃあ……また後で教会で合流しよう!」
こうして一行は二手に分かれた。
クレス・チェスター・アネット組と、カイル・エレナ組。
ウィンドリーフの冒険者ギルドに戻ったカイルとエレナは、受付カウンターに並んだ。
綺麗な受付嬢が笑顔で迎えてくれた。
「また来ましたね、風の召喚少年団のお二人。
何かご相談ですか?」
カイルが少し緊張しながら言った。
「あの……召喚契約について、詳しく知りたいんです。
僕、魔獣召喚士で……」
受付嬢が「少々お待ちください」と奥に声をかけた瞬間——
「ほう、召喚契約の相談か」
低い、落ち着いた声が響いた。
カウンターの奥から現れたのは、黒いローブをまとった中年の男性だった。
銀色の髪に鋭い目つき、胸にギルド幹部の徽章を付けている。
アルド・ノーバ——ウィンドリーフ支部の幹部で、魔術師であり召喚士に詳しい人物。
アルドはカイルとエレナを奥の応接室に案内し、静かに説明を始めた。
「召喚獣は、召喚に応じる対価として召喚士のMPを要求する。
そのため、召喚中は常にMPを消費し続けているんだ。
契約には三つの段階がある。
盟約……最も深い信頼関係が必要。
ファングやルビィのように、すでに心が通じ合っている相手。
MP消費は極小。
契約……条件に基づいて結ぶ。
基本的に召喚獣は、自分より弱い相手とは契約しない。
MP消費は普通。
従属……召喚士の力が圧倒的に上回っている場合のみ可能。
MP消費は小。
……盟約を除き、契約するには召喚士が相手より弱いか、弱っている状態である必要がある」
カイルは真剣に聞き入り、ルビィを肩に乗せたまま何度も頷いた。
アルドは穏やかに微笑み、
「カイルくん、せっかくだからオススメの召喚獣と契約してみるか?
今ならH級のモンスターなら十分に可能だ」
カイルの目が輝いた。
「是非、お願いします!」
アルドは小さく頷き、
「では……レッドホークはどうだ?
H級。能力は『空間把握』と『回避』。
風の大クリスタルに近いこの街で、相性も良いはずだ」
カイルは迷わず答えた。
「やります!」
工房の奥にある小さな召喚室。
アルドが魔法陣を描き、カイルがその中央に立った。
エレナが少し離れたところで手を握りしめて見守っている。
アルドの声が静かに響いた。
「レッドホークよ。我が友カイル・ランチェスターが汝を召喚する。
心より盟約を望む者として、応えよ」
カイルは両手を広げ、異能の力を集中させた。
「魔獣召喚……!」
赤い光が魔法陣に満ち、風が渦を巻いた。
キィン……!
一瞬の閃光の後、魔法陣の上に現れたのは——
鮮やかな赤い羽を持つ、小柄な鷹だった。
体長は50cmほど。目が賢く、翼を軽く広げてカイルを見つめている。
レッドホークはゆっくりとカイルの肩に降り立ち、
くちばしでカイルの頰を優しく突いた。
召喚契約 成功
カイルのギルドカードに、新しい召喚獣の刻印が浮かび上がった。
「名前は……スカーレットでいいかな?」
レッドホーク(スカーレット)が、まるで了解したように小さく鳴いた。
「キー……!」
エレナが目を輝かせて駆け寄った。
「カイルお兄ちゃん……すごい……!
新しいお友達……!」
カイルはスカーレットを肩に乗せ、
ルビィとファングが新しく加わった仲間を興味深く見つめているのを見て、
心の中で強く誓った。
(これで……もっとみんなを守れる。
風の召喚少年団、もっと強くなるぞ!)
カイル・ランチェスター
年齢:12歳
性別:男性
立場:ランチェスター家四男
ギルド:フォーチュン・ソード冒険者ギルド H級
パーティー:風の召喚少年団(メンバー:クレス、チェスター、アネット、エレナ)
職業
魔獣召喚士(祝福ジョブ)
村の子供(副ジョブ)
祝福
① 魔獣召喚(異能)
② 魔獣召喚士(職業)
③ MP補正(能力)
召喚獣
〈G級〉ファング(ハウンドドック)……亡くなった家の猟犬を再現。忠実なタンク役
〈D級〉ルビィ(カーバンクル)……額に赤い宝石の可愛い小型犬。回復役・甘えん坊
〈H級〉スカーレット(レッドホーク)……新たに契約した赤い羽の鷹。能力:空間把握+回避
重要:現在は2体まで同時召喚可能。
3体同時召喚はまだMPと集中力が足りず、不可能です。(将来的にスキルやMP補正が上がれば可能になる予定)
装備(現在の冒険者スタイル)
勇者の剣(模造剣・ダガー) アンコモン級(高品質 C-)
樫の杖 (召喚士らしい後衛用)
おなべのフタ (即席盾・家のおなべのフタを改造)
グランターバン (紫色のターバン)
グランマント (紫色のマント)
旅人の服 (父のお古を母が直したもの)
革の靴 (三男エリオのお下がり)




