第二話 「風の召喚少年団」結成8
知る人ぞ知る名店
マイケル・ロングは「風の召喚少年団」の5人を連れて、大通りから一本裏に入った路地を歩いていた。
「ここだ。『バルドゥークの鍛冶工房』——
知る人ぞ知る名店だぜ」
小さな看板が掛かった、こぢんまりとした石造りの店だった。
中から金属を叩く音がリズミカルに響いている。
マイケルがドアをガラッと開けると、店内に熱気が一気に溢れた。
「よお、親父! 客だぞ!」
奥から出てきたのは、灰色の髭を胸まで伸ばしたドワーフの老人——バルドゥーク・アイアンフィストだった。
筋骨隆々とした体躯に、年季の入った革エプロン。目が鋭く、まるで鉄のように固い視線を一行に向けた。
マイケルが笑いながら紹介した。
「こいつらはリーフェの里から来た『風の召喚少年団』だ。
H級で今日入会したばかりのガキども。
特にこいつ——クレスは、アレス・アルベインの息子だぜ」
バルドゥークの目が一瞬、大きく見開かれた。
「……アレス・アルベインの?
西都一の剣士と言われた、あのアレスか……!
ふむ、確かに目元が似とるのう」
マイケルが肩をすくめた。
「俺も噂でしか聞いたことねえけどな。西都じゃ今でも伝説扱いだろ?」
クレスが少し照れくさそうに頭を下げた。
「は、はい……父です」
バルドゥークは髭を撫でながら、クレスが腰に差している**勇者の剣(模造剣・ダガー)**に目を止めた。
「ほう……その剣、見せてくれんか」
クレスが剣を抜いて渡すと、バルドゥークは目を細めて刃をじっくりと眺めた。
やがて、大きな笑い声が工房に響いた。
「ギャハハハ! こりゃ懐かしい!
俺が若かりし頃、金に困って酒代欲しさに作った模造ダガーじゃ!
『伝説の勇者の剣』を真似て作ったやつだ。
まさかこんなところで再会するとはのう!」
カイルたちが一斉に声を上げた。
「ええっ!?」
「バルドゥークさんが作ったものだったんですか!?」
「アンコモン級なのに、こんなに強いなんて……!」
バルドゥークは満足げに髭を震わせた。
「ふふん、目利きじゃのう。
で、今日は何を買いに来た?」
クレスが真剣な顔で答えた。
「僕用の片手剣を探しに来ました。予算は……これだけです」
小さな布袋を差し出すと、バルドゥークは中身を見て眉をひそめた。
「……ほう。これは驚いた。子供の小遣いじゃな」
その瞬間、カイルが素早く自分の財布を取り出した。
「クレス、足りない分は僕が貸すよ!」
エレナ、チェスター、アネットもそれぞれ小さな財布を出し、
少ないながらも一生懸命に集めた。
合計金額がそれなりの額になった瞬間、バルドゥークの目が少し柔らかくなった。
「よし、わかった」
彼は棚から一本の片手剣を取り出し、クレスに手渡した。
「まずはこれを振ってみろ」
クレスが剣を構え、一振りした。
シャンッ!
バルドゥークが目を細めて頷いた。
「良い太刀筋じゃ。素直な剣筋だ」
マイケルが横で驚きの声を上げた。
「……おいおい、親父が褒めるなんて初めて見たぞ。
クレス、相当気に入られたな」
バルドゥークはさらに二本の片手剣をカウンターに並べた。
一本目は——豪華な意匠にキラリと銀色に光る、派手な刀身の剣。
二本目は——シンプルだがスラリとした、鈍い銀色の刀身の剣。
「選べ。一本だけじゃ」
クレスは真剣な顔で二本を交互に握り、軽く振ってみた。
一本目の豪華な剣は、確かに綺麗だったが……
二本目を振った瞬間——
キィン……!
鈍い銀色だった刀身が、澄んだ輝く銀色に変わった。
クレスが息を飲んだ。
「……この剣……!」
バルドゥークが満足げに笑った。
「良い目利きじゃ。
その剣は俺が作った中でも出来の良い一品だ。レア級じゃ」
クレスたちが目を丸くした。
「レア級!?」
「僕たちの出したお金の……何十倍もするってことですか!?」
バルドゥークは豪快に笑いながら、
「勇者の剣も無料で研いでおいてやる。
せっかくの再会じゃからのう」
マイケルが呆れたように呟いた。
「……親父がここまで良くするなんて珍しい。
クレス、お前、すっかり気に入られたな」
クレスは新しい剣を大事そうに腰に差し、
カイルに向かって深く頭を下げた。
「カイル……みんな……ありがとう。
これで俺も、ちゃんと前衛が務められる」
カイルはグランマントを翻して笑った。
「うん! これで風の召喚少年団、もっと強くなれるね!」
工房の炉の火が、子供たちの未来を優しく照らしていた。
クレス・アルベイン(最新版)
年齢:13歳
性別:男性
立場:アルベイン家長男/アルベイン流剣術道場 跡取り息子
ギルド:フォーチュン・ソード冒険者ギルド H級
パーティー:風の召喚少年団
職業
剣士(祝福ジョブ・メイン)
村の子供(副職業)
祝福
① 剣士(職業)
② 勇気(技能)……恐怖耐性と仲間を守る意志が非常に強い
③ 覇気(異能)……気合を込めると一時的に攻撃力アップ(現在は数秒程度)
装備(現在の冒険者スタイル)
片手剣「シルバー・ストライク」 (バルドゥーク作・レア級)
→ シンプルだがスラリとした刀身。振った瞬間に鈍い銀色から澄んだ輝く銀色に変化する特性を持つ逸品。
革の剣帯 (バルドゥークの店で同時に購入)
木の胸当て (簡易防具・道場のお下がり)
旅人の服 (父のお古)
革の靴
皮の帽子 (冒険者ごっこ用)
※以前使っていた**勇者の剣(模造剣・ダガー)**はカイルに返却済み。




