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 車内にプラスチックな小声のアナウンスが流れた。どうやら行きとルートを変え高速にでも入ったようだ。

 平坦で面白味のない加速を感じ始めると妻が何かを言った。でも私は曖昧に頷き眠たいふりをした。もう少しこの考察の延長線を独りで歩いていたかったのだ。

……たとえば赤い雨と彼らミヨたちは間違いなく因果関係を持っている。そもそも発生がリンクしているのだから。

 赤い雨は、今夜のようによく晴れていても月以外の星は見えない夜空が広がる、その後三週間以内には必ず降る。色のついた雨は屋根の下で見ているだけなのにかなり面倒臭いものだ。

晴れた夜空から星が消え、彼らが現れ赤い雨が降り始めて以来、人はどれほど科学を発展させはしたが、未だにそのメカニズムは不明のままだ。これだけ万人が知る一般的知識の空模様にもかかわらず。

 その謎へ一生を捧げた学者が死んでミヨとなり、マジか! なるほどと手を叩いたとする。しかしそのミヨは語らない。少なくとも公では。そう、しかし誰かにはこっそり囁くのだ。解明されたメカニズムと法則を。そして聞かされた者は実体なんかない強いだけの信頼関係により決して他には漏らさない。こっそり教えてくれた通りに、赤い雨が降り実はミヨたちがどう行動しているのかを検証した後、彼なり彼女なりは約束を守り永遠にデータを廃棄し、なるべく完全に忘れようとするのだ。夢を追いかけながら道半ばで死んだ学者から選ばれた学者の責任として。そういう人の<誠>はどれほど尊い。決まり事や約束、条約や協定なんかを文字にして形を与えるから誤魔化され、破棄され無下にされてしまうのだ。「気持ち」さえあれば形など無い方が崩れ難い。むしろ崩れようがないはず。


 私は、想像やある種の希望を膨らませすぎ、またそれに重ね合わせる息子たちのできごと(いや、彼らのできごとこそが原型とり、今私は思考を飛躍している)を再び思い出すと自然に涙が溢れてきた。縁側で感じていた恐怖感は欠片もなくなっていた。もちろん私の想像や人への希望が正しいかどうかなんて、正直自信はない。でも絶対に正しいと言い切れるような人生をできれば過ごしたい……いや息子にだけはそのような社会で、そのように過ごしてもらいたいと願う。


 そうだ、だからこそ私は赤い雨の降った日に木星で神様になり損ねた鉄屑を使い表札を作ったのかもしれない。


 ……うん。何もかも根拠がなくてむしろ潔い。私は自分がアホらしくて自嘲した。

 ……というか間違いない。私はさすがにかなり眠たいのだ。

 ……にしても、もしかしたら雨賭博で勝ち続けるマッドな学者とかいんのかな?


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