里
「その魔物は……今も増えているんですか…?」
「ああ。」
「どこにいるんですか…?」
「森の反対側にうじゃうじゃいる。」
「えっと、その魔物の対応をしていた人達は…?怪我があるようでしたら治しますが…」
「そうだった!直ぐに里に案内するから来てもらえないか?」
焦ったように旦那さんが叫ぶ
「里には向かいます。ですが旦那さんはマリネさんの所に行ってください。心配しているはずですよ?その体で無理に森に入ったのですし、止められたのでしょう?」
「……っ!」
「マリネさんに無事を伝えて、許可をもらってからにしてください。」
「………わかった。」
「では、早くマリネさんの元へ行ってください。」
「………」
何か言おうとしていたが何も言わずにオオカミの姿になり村の方に走っていった、
後ろ姿を見送り振り返るとこちらを見つめたままのオオカミさん達。一応人間の姿だが。
しばらく見つめあってしまう
あ、あれっ?なんかドキドキ…?
いや、どうすればいいんだっ?
しばらくするとオオカミさん達が全員で目配せをする、
あれれ?襲われる?
「(グルッ)あなたは信用出来る、里はこちらだ。着いてきて下され」
一人?一匹?がいうとオオカミさん達が少し光ってオオカミの姿に戻る。
「フォーン、戻るか?」
「うんっ!」
そっとフォーンに触れ、
「擬態 解除」
するとフォーンが大きくなり、まぁ俺にとってはいつも見ていたフォーンだが、ほかの人からはフォレストラビットが突然大きくなり全く違う種になったように見えるだろう。
ちなみに、今の俺の辞書スキルのレベルだと、相手に直接触れていないと擬態が使えないのだ。
まぁ自分以外にも使えるのは十分破格なのだが…
さっきのようにフォーンだけが襲われた時なんかには離れていても擬態 解除出来るに越したことは無いだろう。
また一つ、レベルを上げる理由が出来たな。
突然のフォーンの変化にオオカミさん達は目を見開き体に力が入っている、
一言言っておけばよかった…
「私達も魔物との戦闘に助太刀しようかと、それと皆さんが信頼してくださったので、私達も誠意を見せよう、と。
フォーンもこちらの方が強いですしね。
改めて、ヒサノリと言います。そしてこちらが
」
「フォーンです!」
「せ、聖獣様…」「聖獣様が…」「なんと…」
「ボクもヒサノリもみんなの言葉分かるからね!そのまま話してね!」
「我らの言葉が分かるのですね!聖獣様は分かりますが…その人間は…それに我らに付き纏っていた呪詛を消し去った力…」
「あはは、どれも借り物だから、気にしないでよ。」
「……余計な詮索を、すまん」
「いえいえ、十分怪しかったですもんね、俺たち」
「……、いえ…。」
「ははは、お気になさらず、それより里に向かいましょう、
あ、里の方への説明お願いいたします!」
「かしこまりました、では参りましょう。」
颯爽と走り出すオオカミさんたちに続いて走り出す。
景色があっという間に過ぎ去り、自分が風になったかのように周りが消えて行く、
そんな中で変わらないのは前を走るフォーンとオオカミさん達だけだ。
そう、変わらないのだ。
俺もできる限り強化して走っているのだが…
それにどんどん離れそうになって行くからどんどん強化や補助を付け加えている。
それなのに、変わらないのだ…
少しづつ速度が上がってるよな、これ。
フォーンは楽しそうに寄り道したり木を見ながら走っている、
慣れない街だったからな。思いっきり走れて嬉しいんだろう。
だがなんだろうか、このなんともいえない気持ちは…
おっ見えてきたな、あそこか、減速減速っと
おっとっとっと…よし、止まれた、
ふぅ、
俺が体を解している間に里の人達に説明しておいてくれたようだ、
「初めまして、ヒサノリともうします、魔物討伐のお手伝いをさせて頂ければと思います。
まずは怪我をなさっている方に治癒をかけて頂こうと思いますのでご協力お願いいたします。」
「ボクはフォーンウィルトス、フォーンって呼んでね。あっ、あと畏まらないでね。今は本当の姿だけど、普段街とか人間の住むところではフォレストラビットに擬態してるから、みんなもフォレストラビットだと思って接してね!」
…………それはムリだろ、フォーン。
そうして自己紹介を済ませた後、次々と治癒を掛けていく。
さぁ、初めての戦闘だ。




