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旦那さんの傷



ヒサノリ、怒涛の神殿騒ぎの後神殿のベットで撃沈。


その翌日



「ヒサノリ〜起きて〜!」


ううん、


「ヒサノリ〜!」


「うん、起きる」


「起きてないじゃん!」


…………


「おはよう」


「おはようっ!ここどこ?」


「ん………?あぁ、そうだ、神殿だよ」


「しんでん?」


「あぁ、神殿だ。俺が身分証無くて困ってただろ?だからオム様が神殿に俺の身分証を頼んでくれたんだ」


「オムニスリィーノル様が?やさしいんだね〜」


「あぁ、それに俺達のことを見守ってくれてるんだ、感謝しないとな。オム様には助けて貰ってばかりだ。」


「そうだね〜」


「そういえばオム様がフォーンによろしくって」


「会ったの?!」


「気配だけな。」


「そうなんだぁよかったね!」


「……あぁ。」


そっとフォーンの頭を撫でる。


俺が何となく不安に思ってたのを気付いてたんだな。まぁ昨日、見通しはついたが。ってそれもオム様のおかげかぁ。頭が上がらんなぁ。ははっ



さて、今日はどうするかなぁ


「フォーン、どこか行きたい所とかあるか?」


「う〜ん、お店見てみたいなぁ」


「よしっ!じゃあドライフルーツが置いてありそうな店も探してみるか!屋台も出てるし、市に行けば昨日のドライフルーツもあるかもしれないぞ!」


「(ハッ!)(バッ)はやくいこっ!!」


昨日のドライフルーツと聞いてフォーンが今まで見た事の無い速さと迫力で振り返った。


思わず身体がビクついてしまったが……


ま、まぁしょうが無いだろぅ、うん。だって何時もの穏やかでかわいいフォーンとは打って変わって猛禽類、肉食獣が目の前に現れたかのようだったのだから。


恐るべし、パンゴーのドライフルーツ。


パンゴーのドライフルーツさん。どうか市にいてください。お願いします!かわいいフォーンの為に!そしてかわいいフォーンを取り戻す為に!!




そうして神殿の方にお礼を伝え、いそいそと神殿を出た。


そして真っ先に向かうのは勿論昨日ドライフルーツが売っていた所だ。


売っていることを祈りつつ足早に向かった


おっ!


おぉ?おーーし!よっしゃぁあ!

あった!よかったぁ!


フォーンからめいいっぱいの喜びの感情が伝わってくる。


あってよかった


「すみません、このドライフルーツ、いくつ売って頂けますか?」


「へ?あら、昨日買ってくれたお客さんだね。

今日も買いに来てくれたのかい?」


「はい、とても美味しかったので。」


「そうかい、それはよかったよ。なんたってうちの旦那が一つ一つ丁寧に作った自慢のドライフルーツだからね 」


「へぇ〜一つ一つですか!それはすごい」


「そうだろう?うちの旦那、鈍そうな見た目してるのに案外器用なんだよ。あたしも初めはそりゃあ驚いたもんさ」


「旦那さんはとても器用な方なんですね、タネの抜き方もキレイですしタネの取り残しもない。それにどこを食べてもどれを食べてもどれもまったく同じ柔らかさだ。職人の技、という感じですね。」


「いやねぇ、職人の技だなんて。お世辞が上手いんだから〜でも旦那が聞いたら喜ぶわよ〜

でもねぇうちの旦那は農家が本職だよ?フルーツ作りは片手間にやってるのさね」


「……え?片手間に?」


「そうさね」


「片手間でこの出来栄えなのですか?」


「いったろぅ?あたしも初めは驚いたって」


「はぁ、旦那さんは実は幼少の頃に名のある職人になると弟子入りしていた……なんてことは……?」


「はははっ面白いこと言うねぇ、幼少の頃ねぇ。聞いたことないわねぇでもうちの旦那、口数少ないからどうなんだろうねぇ」


「口数が少なくて、几帳面な仕事……まさに職人って感じですけどね」


「まぁそうとも言えるがねぇ。最近も畑仕事の途中だってのに突然森の中入っちまったり、出てきたと思ったら傷だらけだったり。昔からよくわからん人だけど最近はますます分からんのさ」


「お二人は幼馴染なんですか?」


「いやぁ、あたしの住む村の近くに鬱蒼とした森があってね、浅場はまだいいけどそこから少し進むと急に薄暗いし足元は悪いしで村の者も入らないような森なんだ。」


「ほぉ」

鬱蒼とした森なのに魔物が溢れない…?

それに人里を襲わない?誰かが討伐している?

知能の高い魔獣でも居るのか?だが魔獣が人里を守る理由は無いか。


「ある日突然、自分は森の中に住んでいるって言う男が村に来たもんだから村は大騒ぎさ。しばらく村に留まっていたが悪い人じゃ無さそうだって村長が言い出してそのまま村に住み着いたんだ。それで、気付いたら夫婦になってたんだ」


「なんと……」


「ってな訳で、旦那の無口も合わさりゃ謎だらけだねぇ。もしかしたら本当にどこかの職人に弟子入りしていたのかもねぇ〜」


「はぁ、っと、すみません、つい話し込んでしまって…商いの邪魔に……」


「いや、気にしなくて大丈夫だよ、あたしも楽しかったからね。それにお客さん、さっきの答えは全部どうぞだ。8個あるけどどうだい?」


「全部良いのですか?私としては有難いのですが…、昨日の私みたいに」


「それも縁さね、それに今日は馴染みのお客は来ない日だからね。全部買って貰えるなら万々歳さね。」


「それなら遠慮なく買わせて頂きますね。

旦那さんにも丁寧な造りに感動した、美味しかったとお伝えください。」


「ちゃんと伝えとくよ。ありがとうね。明日もここに来るから暇があったら寄ってくれると嬉しいよ。商売関係無しにね。」


「はい、明日も来させてもらいます、私もこの子も旦那さんのドライフルーツに心を掴まれてしまったので。それにここには知人が少ないのでこうして話せる方は貴重ですしね。」


「お客さんは従魔術が使えるのかい?気付かなかったよ。じゃあ明日はその子のことでも教えて貰おうかね。」



「はい、ではまた明日」


「また明日」



「ヒサノリ〜ボクお腹ペコペコだよぉ」


「ごめんごめん、すぐご飯にしよう、串肉だけ買わせてくれ、」


話しながら串焼きの屋台に並ぶ


「それはいいけど、ヒサノリ、森が気になるの?」


「あぁ。旦那さん、もしくは旦那さんとその仲間かなんかが森の魔物や魔獣を減らして森と村を守ってる……気がする。完全に憶測だけどな。」


「心配だね。旦那さんの傷。」


「あぁ、大丈夫だといいが。」


「明日は今日より早めにドライフルーツのとこ行こっか」


ドライフルーツのとこって……フォーンの中であの奥さんはドライフルーツの人なんだな、ははは


「そうだな。」



「2本頼む」


「はいよっ」


「ありがとう」



「待たせて悪かったな、フォーン」


「はやく食べよ!もうボク待ちきれない!」


「おう、それじゃぁいただきます」


「いただきま〜す」


「やっぱり旦那さんのドライフルーツおいし〜っ!」


「この街にいる間にたくさん買っとこうな」


「うんっ」




そのあとそのまま市や周りにある店を冷やかして夕方になって来たので宿探しを始めた。……のだが。


「従魔入室可の宿が無いじゃないか!!

フォーンはこんなにかわいくて今はこんなに小さいんだぞ?何がダメんなだよ〜!!」


「だってボク魔獣だよ?魔獣が同じ宿、しかも部屋の中で寝てるなんて知ったらお客さん寝れなくなっちゃうかもよ?」


「むうううう。何か方法は……街から出て野宿するか!」


「別にボクはそれでも良いけど、街出る前に門の近くにあるんだから従魔ギルドで聞いてみたら?」


「おう!」




「すみませ〜ん」


「はい?おぉ、先日の。今日はどのような?」


「従魔と同じ部屋に泊まれる宿を探していまして」


「あぁ、それならギルドの宿を利用されてはいかがでしょう?隣の建物が宿になっています。食堂はないので外で食べて貰うことにはなりますが…、因みにギルド員の方は少しお安くなりますよ」


「願っても無いことです!ありがとうございます!お支払いは何処で?」


「ここで済ませてしまいましょう。

それではこちらです。 宿と言っても素泊まり専用なので職員が何人も詰めているわけではありません。なので空き巣対策に私の従魔が宿の廊下を歩いていますがお気になさらずに。」


うおっ この巨大ヘビか。


とりあえず巨大ヘビに会釈をして横を通り過ぎる。


セルスさんに着いていくと一番奥の部屋へと案内された。この宿は他の人も何人か使っているようだ。


「こちらのお部屋になります。鍵は紛失なさらないようお気をつけ下さい。」


「分かりました。ありがとうございます」


「何かございましたら、ギルドの方にお越しいただければ。

それでは私はこれで。」


「ありがとうございました、」


案内された部屋は5畳程の広さにベッドと小さな机がるだけのシンプルな部屋だった。でも想像していたよりかなり広い。まぁ大型の従魔が居たら狭いかもしれないが。だとしても掃除が行き届いていて清潔な部屋だ。


「わーい人間の宿だぁ〜これが人間の使ってる ねどこ〜?」


「そうだぞ〜この上で寝るんだ」


「ここで〜?落ちないの〜?」


「たまに落ちるな」


「それなのにここで寝るの?」


「あぁ」


「へんなの〜」


「そうだな〜」


「穴の方が落ち着くよ〜?」


「そ、そうか」


「うん〜」


「そろそろ夕飯食べるか〜?」


「うん、お腹すいてきたよ〜」


「じゃあ外行くか、」


「うんっ」


部屋のドアを開けるとちょうど巨大ヘビが通りすぎるところだった


「うおっ」


思わず声を出してしまった


「えっと、すまん。改めてヒサノリです、今日からしばらくここの宿にお世話になります。」


「ボクはフォーンウィルトス、フォーンって呼んでね」


「お気になさらず、お客人。大声で叫ばれたり剣を向けられることも珍しくない、驚かれるくらいマシな方だ。そもそも主が私のことをきちんと説明しないのがいけないのだ。まったく、困ったものだ。あぁ、遅くなったが私はウィルスと申す。」


「そうか、苦労してるんですね。よろしくお願いします、ウィルスさん。」


「がんばってねウィルスさん。ボクはウィルスさん怖くないから安心してね!」


「………?………!お二人共、私の言ったことが分かるのですか?」


「はい、分かりますよ」


「ボクもわかるよ〜」


「それにそちらのフォーン君は私が怖くないので?動物、魔物は当然として同じ魔獣でも草食系の方や小型の方には怖がられるのですが…?」


鎌首を器用に傾げる


「怖くないよ?」


「そうですか、ありがとうございます。それで、お出かけでしょうか?」


「ああ、夕飯食べに。」


「お気を付けて」


「ありがとうございます」


「ありがとー!」



「ウィルスさん、聞いてこなかったな。」


「ねー」


「まぁいっかー」


「うんー」


「何食べる?」


「あのフルーツどぉ?!」


オレンジ色の果肉がツヤツヤとしているのがここからでも見える。ジューシーですよっ!と声が聞こえる


「美味そうだな、他には?」


「うーん、あの木の実いっぱいの!」


パン……か?食えるのか?まぁフォーンだもんな、きっと食えるな。


「よし、じゃああと俺の肉だな」





「食い過ぎたな。」


そう、例の「ジューシーですよっ!」が数種類あったのだ、、そしてパンも 木の実の組み合わせ、種類が沢山あったのだ。……もちろん全種類買って全部食べたさ。その結果だ。


「うん。もう食べられないよ〜」


「苦しいな」


「げふぅ」


「大丈夫か?」


「もう寝る…」


「そうだな…」




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