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26.夜の森①飛び込もう夜の森へ

 あぁもう、寝苦しい!


 立ち上がって身体をぶるぶると振るわせた。上等な絹を使っているからか肌触りは悪くないんだけどな。


 部屋の化粧台に飛び乗り鏡の前で改めて自身の姿を眺める。そこには光沢のある白の生地にピンクの花模様が無数に付いた、とってもキュートな服を身に付けた黒いねこがいる。


 なんだこりゃ。こんな服を好き好んで着るねこがいるかっつーの。検討違いも甚だしいよね。


 前足、後ろ足の順に伸ばして稼働に問題無さそうか調べていく。尻尾の動きも大丈夫そうだ。


 服は胸の内側でボタン止めされているから自分では脱ぐことは出来なさそうだ。お尻の方はヒラヒラのフリルがついて実に鬱陶しい。オシッコする時にこのヒラヒラに付いちゃわないか心配になる。


 何でオレがこんなみっともない格好のままいるかというのは、実は気に入ったからじゃないよ。ガンクもヴァンザードもスマルも、オレのこの可愛いらしくオスらしからぬ姿に感激したみたいだから、オレに着せた服を脱がせもせずに寝ちゃったんだ。オレは恨むよ。


 部屋の中では3人が仲良く寝ている。酒で気分が紛れたのかガンクも最後は楽しそうだったから、オレとしては良かったけれど。


 着慣れない残念な服とヴァンザードとガンクの鼾の大合唱のせいで、今夜は安眠は難しそうだ。オレは開け放たれた窓の外へ飛び出した。


 夜風が気持ちいい。髭が夜風にたなびく。


 この服はご丁寧にフード付きだ。走ると耳の後ろでフードがパタパタと靡いて煩い。


 辺りには誰もいない。コカコ村と違ってこのハストランの町にはねこが少ないのもいい。見かけない程だ。それもいい、こんなみっともない格好みられたくないからね。オスとしてプライドが傷付いちゃうよ。


 オレは1匹で森へ向かう。「明日の早朝から掃討作戦を決行だ」なんて3人が話していたけど、知ーらない。


 元はと言えばオレが狩りをし過ぎちゃったのが原因みたいだし、責任感じてるんだ。


 それに、スマルの調合した臭いの元で活性化したのは森の魔物達だけじゃない。オレも一番身近で臭いの被害に合ったんだから。なんとか自制心で抑えているけど、本当はすっごく昂っているんだからね。


 それにフードの中には強力な回復薬が入っている。森は危ないからってスマルが調合してフードに括り付けてくれたのだ。いざとなったら使おう。


 オレは夜の帳の落ちた森の中に飛び込む。そこら中から生き物の気配がするな。夜行性の生き物が活発に蠢いている。うんうん。いっぱいいる。


 さぁ、楽しい狩りの時間だ。やってやるぞー!



短いですが区切りが良さそうなので。すみません。でも猫に服というか、コスプレはかわいいよなーと思います。やられてる方は、勘弁してよー、と思っているでしょうが(笑)

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