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第40話 崩れ始めた王国

カリナが王城の中心に姿を現した瞬間、

宰相グラディウスの顔から血の気が引いた。


「ひ、光の王……!

 なぜここに……!」


カリナは静かにユウマの前に立つ。


「ユウマに危害を加える者を、

 私は許しません」


その声は穏やかだが、

王城の空気そのものを震わせるほどの威圧を帯びていた。


近衛兵たちは剣を構えたまま動けない。

恐怖で足がすくんでいる。


ユウマはその様子を観察し、

すぐに気づいた。


(近衛兵は“戦う意思”がない。

 つまり――

 宰相の命令に従っているだけで、

 光の王の本当の姿を知らない)


宰相は震える声で叫んだ。


「光の王……!

 貴様は魔王だ!

 王国を滅ぼす存在だ!」


ユウマは即座に反論した。


「魔王と呼んでいるのは王国だけです。

 本来は“光の王”――

 世界の均衡を守る存在です」


宰相は机を叩いた。


「黙れ!

 光は危険だ!

 光は――」


ユウマは冷静に言った。


「“光は危険”というのは、

 あなたの主観ですよね?」


宰相の動きが止まる。


ユウマは続けた。


「あなたは“光が危険だ”と言い続けている。

 でもその根拠を一度も示していない。

 あなたが恐れているのは光ではなく――

 “光に照らされる自分の嘘”です」


宰相の顔が歪む。


「貴様……!」


ユウマは机の上の術式図を指した。


「召喚儀式は“勇者召喚”ではなく、

 “鍵を探す儀式”だった。

 あなたはそれを隠していた」


宰相は剣を構えた。


「鍵は危険だ!

 鍵が光に傾けば、世界は光に飲まれる!」


ユウマは首を振った。


「違います。

 鍵が光に傾けば――

 “王国の嘘が暴かれる”だけです」


宰相の顔が怒りで真っ赤になる。


「黙れ黙れ黙れ!!

 お前さえいなければ……!」


その瞬間、

ユウマは宰相の“視線”に気づいた。


(宰相は俺ではなく――

 “術式図”を見ている)


ユウマは悟った。


(この術式図には、

 宰相が絶対に知られたくない“何か”がある)


ユウマは術式図を手に取り、

宰相に見せつける。


「宰相。

 この術式図の“空白の円”――

 これは何ですか?」


宰相の顔が凍りつく。


「そ、それは……!」


ユウマは静かに言った。


「勇者の紋章があるべき場所に、

 “何も書かれていない”。

 つまり――

 召喚儀式は“勇者を呼ぶための術式”ではなかった」


宰相は後ずさる。


「やめろ……

 それ以上言うな……!」


ユウマは続けた。


「この空白は“鍵の座”。

 鍵を呼ぶための術式。

 でも――

 鍵の名前は書かれていない」


エレナが息を呑む。


「じゃあ……

 王国は“鍵が誰か分からないまま”召喚した……?」


ユウマは頷いた。


「そう。

 王国は“鍵を探すために”クラス全員を召喚した。

 その中に鍵がいるかどうかを、

 後から調べるつもりだった」


ガルドが拳を握る。


「つまり……

 ユウマは“候補の一人”だったってことか」


ユウマは静かに言った。


「そして――

 鍵が誰か分かった瞬間、

 王国は“鍵を管理する”ために動き出した」


宰相は叫ぶ。


「違う!!

 鍵は危険だ!

 鍵は世界を壊す!!」


ユウマは首を振った。


「鍵が世界を壊すんじゃない。

 “鍵を利用しようとする王国”が世界を壊すんです」


宰相は剣を振り上げた。


「黙れぇぇぇ!!」


その瞬間――

カリナが手をかざした。


赤い光が宰相の剣を弾き飛ばす。


「宰相。

 あなたの嘘は、

 もう隠せません」


宰相は後退し、

部屋の奥の扉へ走り出した。


「まだだ……!

 まだ終わらん……!

 鍵は……

 鍵だけは……!」


ユウマは叫んだ。


「宰相は逃げる!

 追わないと!」


ガルドが剣を構える。


「任せろ!」


エレナも続く。


「ユウマ、絶対に離れないで!」


カリナはユウマの手を取った。


「ユウマ……

 あなたが選ぶ道を、私は守ります」


ユウマは頷いた。


(宰相は“鍵”に異常な執着を見せた。

 これはただの政治ではない。

 もっと深い“第三の真実”がある)


宰相の逃走を追いながら、

ユウマは確信した。


(宰相は“鍵の本当の役割”を知っている)


そして――

その真実こそが、

王国崩壊の引き金になる。

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