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第39話 宰相の部屋

近衛兵に囲まれたまま、

ユウマは王城の奥へと連れていかれた。


廊下は静まり返り、

まるで“処刑場”へ向かうような空気だった。


(この緊張感……

 宰相は本気で俺を排除するつもりだ)


やがて、

重厚な扉の前で足が止まる。


近衛兵が扉を叩く。


「霧島ユウマをお連れしました」


「入れ」


低く、冷たい声が返ってきた。


扉が開く。


そこは――

王城の中でも最も権力が集中する部屋。


宰相グラディウスの執務室だった。


部屋の中央に立つ男は、

白髪混じりの髪を後ろに撫でつけ、

鋭い目でユウマを見下ろした。


「……来たか、霧島ユウマ」


ユウマは一歩前に出た。


(この男……

 “敵”の顔をしている)


宰相は机に手を置き、

ゆっくりと歩み寄ってきた。


「お前は光の聖域へ行ったそうだな」


ユウマは静かに答えた。


「はい。

 情報局の任務として」


宰相は鼻で笑った。


「任務?

 勝手に光の王と接触した者が、

 よくもそんな言い訳を」


ユウマは表情を変えずに言った。


「では質問します。

 “光の王”の存在を、

 なぜ王国は隠しているんですか?」


宰相の目が細くなる。


「……ほう。

 誰に吹き込まれた?」


「誰でもありません。

 自分で推理しました」


宰相は机に戻り、

椅子に座った。


「ならば教えてやろう。

 光の王は“魔王”だ。

 それ以上でも以下でもない」


ユウマは即座に反論した。


「魔王と呼んでいるのは王国だけです。

 本来は“光の王”――

 世界の均衡を守る存在です」


宰相の眉がわずかに動いた。


(図星……)


ユウマは続けた。


「王国は“魔王”という嘘を作り、

 光の王を悪者に仕立て上げた。

 その理由は――

 “光が王国の嘘を暴くから”」


宰相は机を叩いた。


「黙れ!」


近衛兵が剣に手をかける。


だがユウマは怯まなかった。


「黙りません。

 俺は“尋問される側”ではなく、

 “尋問する側”です」


宰相の目が鋭くなる。


「……何を言っている?」


ユウマは懐から紙束を取り出した。


ミレイユ局長から渡された――

召喚儀式の術式図。


宰相の表情が一瞬だけ固まる。


(やっぱり……

 この術式図は“見られてはいけないもの”だ)


ユウマは術式図を机に置いた。


「宰相。

 これは“勇者召喚の術式”ではありません。

 “鍵を探すための術式”です」


宰相は沈黙した。


ユウマは続けた。


「王国は“勇者召喚”という名目で、

 本当は“鍵を探す儀式”を行った。

 だからクラス全員が召喚された。

 その中に鍵がいるかどうかを確かめるために」


宰相はゆっくりと立ち上がった。


「……霧島ユウマ。

 お前は危険だ」


ユウマは静かに言った。


「危険なのは俺ではなく――

 “真実”です」


宰相の目が怒りで揺れる。


「光の王に会ったことで、

 お前は“王国の敵”になった。

 鍵が光に傾けば、

 世界は光に飲まれる。

 それを防ぐのが王国の役目だ!」


ユウマは首を振った。


「違います。

 王国が恐れているのは“光”ではなく――

 “光に照らされる自分たちの嘘”です」


宰相は剣を抜いた。


「……処分する」


近衛兵が一斉に動く。


エレナの叫び声が廊下から聞こえた。


「ユウマ!!」


ガルドの怒号も響く。


「開けろ!!」


だが扉は封印されている。


宰相が剣を構え、

ユウマに歩み寄る。


「鍵よ……

 お前はここで終わりだ」


ユウマは一歩も引かなかった。


(ここで死ぬわけにはいかない。

 まだ暴くべき嘘がある)


その瞬間――

部屋の空気が震えた。


赤い光が扉の隙間から漏れ、

封印が砕け散る。


扉が吹き飛び、

エレナとガルドが飛び込んできた。


そして――

その後ろから、

静かに歩み出る影があった。


白い髪。

赤い瞳。


カリナ・ルミナス。


光の王が、

王城の中心に姿を現した。


宰相が叫ぶ。


「光の王……!

 貴様……!」


カリナはユウマの前に立ち、

静かに言った。


「ユウマに触れたら――

 あなたを許しません」


宰相の顔が恐怖に染まる。


ユウマは思った。


(この瞬間――

 王国の嘘が、

 完全に崩れ始めた)

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