8
初めて聴いた冴子の名前に知也は少しびっくりしながら
「そうそう。冴子ちゃん…… この子も一緒に遊びに
行っても良いだろう?」
佳苗と浩太にそう言った。
突然のことに驚く佳苗と浩太だったがすぐに我に返った
浩太は
「知也。ちょっと……」
知也の腕を掴み、知也と共に佳苗と冴子の傍から少し離れた。
浩太は知也が連れて来た冴子のことをちらりと見ると
「おい。知也……どういうことだよ? 今日は俺達だけで
遊びに行くんだろう? どこのどいつからもわからない者を
連れて行くなんて…・・・」
知也に言った。
そんな浩太の言葉に知也は少しイラッとしながら
「良いじゃないか…… ちょうど、Wデートになって……」
とだけ言うとその場に浩太を残し、嬉しそうな顔をし、
佳苗と冴子のもとに戻った。
『しょうがないなぁ……』
浩太も渋々、佳苗らのもとに戻った。
「さて、どこに行こうか?」
突然、冴子が現れたことに浩太は冴子のことを
少し気にしながら、佳苗らにそう言うと
「遊園地に行こう!」
知也は佳苗の方を見ながら、そう言ったが知也が
本当に見ていたのは佳苗じゃなく、その後ろにいた
冴子だった。
佳苗は知也が自分を見詰め、言ったと勘違いし、
「私も久々に遊園地に行きたい!」
頬を赤らめた。
浩太は浮かれた顔をした佳苗のことを
呆れ顔で見ながら、冴子に
「きみも遊園地で良い?」
と訊いた。
突然、見知らぬ人達の前に連れて来られ、
ドンドンと話が進んでいくのに戸惑っていた冴子は
「ええぇ……」
と頷いた。
「よし!決まりだ!……」
目的地が遊園地と決まった知也らは電車に乗り、
郊外にある、体験型の遊園地へと向かった。
遊園地に到着した知也らは入り口を通り、
遊園地の中に入ると知也は冴子の手を掴み、
「これから別行動なぁ!」
冴子の手を引っ張り、遊園地の中へと冴子と共に走って、
消えて行った。
『なに?……』
遊園地の中へと走って、消えていく知也と冴子を
浩太と佳苗は呆気に取られ、見詰めていた。
浩太らと別行動を取った知也は浩太らが見えなくなると
走るのをやめ、少し息を切らしながら
「さて!どこから行こうか?」
遊園地を見廻し、嬉しそうに冴子に聴いた。
楽しげな表情の知也に冴子は呆気に取られていたが
『二人きり?…… これはチャンス!』
と思い、冴子も知也と同じように遊園地内を見廻し、
出来るだけ、知也を死へと誘っても
怪しまれない場所を探した。
『静かな場所、静かな場所……』
冴子が辺りをキョロキョロと見廻していると
「うん!そうだ。あれにしよう!」
知也が冴子の手を握り締めたまま、指差したのは
この遊園地で一番、怖いと評判のお化け屋敷だった。
『え? あそこ?』
冴子は知也が指差した場所に驚いたものの、
『あそこなら、誰にも怪しまれないわ!』
と思った。
知也は冴子の手をギュッと握り締めると自分が
指差した遊園地で一番、怖いと評判のお化け屋敷に向かって、
緊張しながら、歩み出した。
「ぎゃあぁ…… ぎゃあぁ……」
この遊園地で一番、怖いと評判のお化け屋敷の前まで
冴子と共にやって来た知也だったがお化け屋敷の中から
聴こえて来る悲鳴の声に脚をガクガクと震わせていたが
意を決した知也は冴子の手をギュッと握り締めると
「は、入ろうか?」
お化け屋敷の入り口を見詰めたまま、声を震わせ、
冴子に言った。




