表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死神の恋  作者: 劉・小狼
7/18

 7

 次の日から知也のためにフルートが弾けなくなり、知也の前に

姿を現さなくなった。

 そんなこととは知らず、知也がいつものように冴子の

フルートの音色を聴こうと冴子のもとにやってきたが

冴子はフルートを奏でていなかった。

 『どうしたんだろう?…… 具合でも悪いのかな?』

 その日は知也は冴子のもとから帰った。

 次の日もその次の日も知也は冴子のもとにやって来るが

やはり、冴子はフルートを奏でていなった。

 『どうしたんだろう?・・・』

 哀しげに戻っていく知也を洋館らしき建物の2階から見ていた

冴子も心が締め付けられるように痛かった。

 冴子と会えず、落ち込み、元気がない知也を元気付けようと

知也の親友の浩太は

 「なぁ。知也…… 久しぶりに佳苗ちゃんと一緒に

遊びに行かないか?……」

 知也を遊びに誘った。

 浩太は幼い時から知也と佳苗の事を良く知っている

幼なじみだった。

 だが、冴子のことで頭の中がいっぱいだった知也は

 「うんん……」

 浩太に素っ気ない返事をした。

 知也のあまりにも素っ気ない返事に浩太は

少しイラッとしながら

 「良いんだな? 佳苗ちゃんと遊ぶ約束をして?……」

 知也に念を押すように言うと

 「ああぁ……」

 知也はまるで話を聴いてないように頷いた。


 浩太らと遊ぶ当日……


 『イヤだなぁ……』

 知也が気乗りしない重い足取りで浩太らと約束した

待ち合わせの最寄の駅に向かっていると知也は

ふと、優雅にフルートを奏でている冴子の姿が浮かんだ。

 浩太らとの約束の時間が迫っていたが知也は

 どうしても冴子のことが気になり、

 『今日もいないよなぁ……』

 と思いつつも、知也の脚は自然と冴子がいつもフルートを

奏でていた洋館らしき建物がある場所へと向かった。

 知也が息を切らしながら、冴子がフルートをいつも

奏でていたところに辿り着くとちょうど、庭の花壇の花に

水をやろうと建物の中から冴子が庭に出てきた。

 冴子のことを見付けた知也は

 『いた!……』

 と思うと冴子がいる、庭の中へと入っていった。

 突然、自分の前に息を切らしながら、現れた知也に

冴子がびっくりしていると

 「行こう!……」

 知也は冴子の手を取り、浩太らが待っている待ち合わせ

場所へと走り出そうとした。

 「きゃぁ…… 放して!……」

 冴子は突然のことに驚き、知也の手を払い除け、

その場に立ち止まった。

 冴子と共に走り出す事が出来ず、その場に立ち止まったままの

知也は冴子に優しく微笑みながら

 「行こう!……」

 再び、冴子に手を差し伸べた。

 『なに?……』

 冴子は驚きながらも、知也の少し強引さに負け、

知也の手を掴んだ。

 掴んだ冴子の手をギュッと握り締めると冴子を見詰めながら

 「ちょっと、走るよ!……」

 知也は冴子と共にその場を走り出した。

 冴子は自分が死へと誘おうとしている知也の背中を見詰めて、

走りながら、ドキドキとしていた。

 それは冴子にとって、初めて経験する感覚だった。

 その始めての感覚に冴子は戸惑った。

 「もう遅い!…… 知也の奴、また寝坊をしているのでは

ないでしょうね?」

 待ち合わせ場所に中々、やって来ない知也に

佳苗は苛立っていた。

 浩太は辺りをキョロキョロと見廻しながら、

 「おかしいなぁ?…… さっき、電話をかけた時には

もう家を出て、こっちに向かっていると言っていたのに……」

 独り言のように呟くと

 「ごめん、ごめん……」

 知也は冴子の手を引っ張りながら、佳苗と浩太の前に

息を切らし、走って、現れた。

 知也が連れて来た、アイドル級の可愛さの冴子に

佳苗と浩太はびっくりし、

 「知也。その子、だれ?……」

 佳苗は知也に冴子のことを訊いた。

 知也が連れて来た冴子の顔を見詰めながら

 「ええっと?……」

 冴子の名前も知らず、答えに困っていると知也が

答えに困っているのを見て、冴子は軽くお辞儀をすると

 「は、はじめまして!…… 藤崎冴子と言います!」

 自分の名前を名乗った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ