17
そんな冴子を見守るように優しい表情で見詰める先輩死神は
「はははぁ…… 優しい子……」
冴子の手を握り、冴子がだきしめている傷付いている
小鳥に向け、自分の吐息を優しく吹きかけた。
先輩死神の吐息を吹きかかった傷付いた小鳥は
たちまち、傷が癒え、元気になった。
それを見た、先輩死神はすっかり、元気になった小鳥を
優しく、空へと返した。
何が起こったのかわからず、驚いた顔をしている
冴子のことを先輩死神は見ながら
「良い? 死へと誘う私ら、死神があんなことをして
命を救ってはいけない……」
と冴子に言った。
「どうして?……」
冴子は不思議そうに先輩死神に聞き返した。
先輩死神は少し自分のことを気にしながら
「あれにはリスクが伴うの…… 下手したら、
私らの命まで危ないの・・・貴方は決して、
使ってはいけないわよ!」
小鳥が飛び去っていった青空を見詰め、
冴子に強く念を押した。
確かに傷付いた小鳥を助けた後、先輩死神の色が
少し薄くなった気がした。
すぐに直ったが……
『あれは使ってはいけないんだ!』
冴子は直感した。
冴子は躊躇していた。
『でも、知也を助けるにはあれしかないわ……』
冴子が決心を決め、知也の躯に突き刺さっている
ナイフを抜くと知也の顔を引き寄せ、
キスをしようとしたその時……
何処からともなく、
『ダメ! それを使っては……』
と女性の声が聴こえて来た。
その女性の声に一瞬、冴子は動きをとめるが
「今、助けるからね……」
というと知也に優しくキスをした。
キスにより、冴子の躯から知也の躯に生命エネルギーが
流れ込んでいった。
命のともし火が消えかかり、躯が冷たくなりかけていた
知也の躯に温かさが戻った。
それと引き換えに冴子の躯から色が段々と抜け、
顔色が見る見る、悪くなった。
『これ以上、やったら、私は死ぬわ……』
冴子はそう思ったが、知也の躯など、生命力は戻ってきたが
完全に知也が助かってはいなかった。
冴子は覚悟を決めた。
『私の命を全て、貴方にあげるわ……』
冴子は更に知也に生命力を送り続けた。
冴子の生命力を受け取った知也は見る見る、
傷が癒え、生き返った。
それを見た、冴子は
「よかった!……」
と呟くと全ての生命力を使い果たし、力尽き、
その場に倒れ込んだ。
しばらくして、気が付いた知也は
『あっ! あいつらは?……』
小型のナイフを自分のことを刺した利奈らのことを
慌てて、探したがすでに利奈らの姿は
辺りの何処にもいなかった。
その代わり、知也の横には今にも消えかかりそうに
なっている冴子の姿があった。
「ど、どうしたんだ?」
知也は慌てて、今にも消えかかろうとしている
冴子の躯を優しく抱き締めた。
冴子も気が付き、知也が無事に気が付いたことを知ると
「良かった…… 気が付いたのね…… もう大丈夫!」
と呟くと冴子は再び、気を失った。




