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「中々、あいつ【冴子】がお前の命を奪わないから……
今までのことは全部、私らが仕組んだことだ。」
驚く知也は
「じゃあ…… あの手紙も……」
呟くように言うと利奈は小悪魔のような笑いながら
「そう! あれも私がやったことなの!」
知也に言った。
『う、嘘だろう……』
驚く知也に
「あの子【冴子】が邪魔しなかったら、もっと簡単に
貴方の命を奪えたのに……」
利奈は更に嬉しそうにそう言った。
知也は始めて、ハッと気が付いた。
冴子が死神だったから自分に危険が起こっていたのじゃなく……
冴子はこいつらから自分のことを必死で守っていて
くれたのことを……
「ご、ごめん・・・」
知也は自分が浅はかにも冴子のことを疑い、冷たい態度を
取った事を悔やんだ。
そんな知也を見た利奈は冷酷にも
「さあ。時間よ!……」
自分の前に小型のナイフを出現させると念力のような力で
知也の心臓を目掛け、一気にそのナイフを飛ばした。
グサッ……
嫌な音と共に一瞬にして、利奈の飛ばしたナイフは
知也の心臓に突き刺さった。
「冴子……」
と呟くと知也は力なく、その場に崩れるように倒れ込んだ。
知也のもとに急ぎ、人気のない森の近くを通りかかった
冴子の手の中からしっかりと握り締めていたはずの
星型のペンダントが人気のない森の方へと転がり落ちた。
『もしや……』
嫌な予感がした冴子は落ちた星型のペンダントを急いで拾うと
人気のない森の中へと急いだ。
冴子が心臓にナイフが突き刺さり、地面に倒れ込んでいる
知也のもとまでやって来ると今、まさに利奈らが
知也の魂を奪おうとしていた。
「何をやっているの?……」
冴子は小型ナイフを急いで出現させると利奈らに向けて、
念力のような力で投げ付けた。
利奈らを倒すことが出来なかったが致命傷を与えることができ、
「ちぃ…… また、てめぇか!」
利奈は吏雄と共にその姿を幽霊のようにその場から消し去った。
辺りから完全に利奈らの気配がなくなったのを確認すると
冴子は
「と、知也…… 大丈夫?……」
今にも泣き出しそうな顔をし、知也の傍に駆け寄り、
瀕死状態の知也のことを抱き締めた。
知也は薄れ行く意識の中で冴子の声が聴こえた気がし、
「さ、冴子か?…… まさかな?……」
と呟いた。
今にも事切れそうな知也の躯を冴子は必死で揺さぶりながら
「知也、しっかりして!…… 冴子よ」
知也に話しかけた。
知也は今にも消えそうな意識の中で目を開け、焦点が合わないまま、
どんよりとした灰色の空を見詰めながら
「ご、ごめんな。冴子…… 君のことを最後まで
信じて上げられなくて……」
というと力尽きた。
ボロボロと冴子は涙を流しながら
「知也! しっかりして!……」
段々と冷たくなっていく知也の躯をギュッと強く、抱き締めた。
『ど、どうしよう?……』
冷たくなっていく知也の躯を抱き締めながら、冴子が
どうして良いのかわからず、涙を流し、戸惑っていると
ふと、冴子は冴子の先輩が言ったことを思い出した。
それは冴子が死神になりたての見習いで先輩死神に付き、
色々なことを学んでいた頃……
ある日、死神の見習いの冴子は傷付き、地面に落ち、
弱っている幼き小鳥を見つけた。
冴子は涙を流しながら、
「せ、先輩……」
先輩の死神にその傷付いた小鳥を見せた。
先輩の死神は冴子が差し出した傷付いた小鳥を見詰めながら
「貴方もそろそろ、命を奪ってみる?…… その子で?……」
優しい顔で冴子に微笑むと
「いやぁ……」
冴子は自分が差し出した傷付いた小鳥を素早く、引っ込めると
自分の胸の前で優しく抱き締めた。




